行政裁量は
①要件裁量
②効果裁量
以上の2つの柱で成り立っている。
「入管法は行政裁量の幅が大きい」と言われる所以を紐解いていこう。
結論、それは①②「どちらにも」裁量があるからである。
具体的に考えていこう。
入管法は、正規滞在者に係る
・在留期間更新 21Ⅲ
・在留資格変更 20Ⅲ
・在留資格取得 22の2Ⅲ
の各許可について、「相当の理由があるときに限り、許可することができる」と定めている。
「相当の理由があるときに限り」
→要件裁量
「許可することができる」
→効果裁量
である。
1つずつ見ていこう。
まずは要件裁量に関してである。
「相当の理由があるときに限り」許可をするのだから、相当の理由がないなら許可をしなくて良いのである。
要するに、申請をする側が「相当の理由がありますよ」ということを示さなければならないのである。
示した上でそこに相当の理由があるorないを判断され、相当な理由がなければ不許可にする。
理由があれば許可することが「できる」に過ぎないのである。
次に効果裁量に関してである。
文言に注目してほしいのだが、「許可をする」「許可をしなければならない」でもなく、「許可をすることができる」なのである。
もちろん例外的に裁量権の逸脱濫用という概念は付き纏うが、原則的なスタンスとしては許可するかどうかには大きな裁量が入管側にはある。
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要件裁量・効果裁量の双方に裁量があることがほとんどではあるが、入管法の中でも要件裁量にしか裁量がない条文も存在する。
つまりこれらの条文で規定されるケースでは、要件を満たす以上必ず許可しなければならないということである。
効果裁量がないという意味で覊束行為と呼べるだろう。
そのような条文は以下のものである。
・7条の2 Ⅰ COE交付処分
・9条 Ⅰ 上陸許可処分
・61条の2の4 Ⅰ 仮滞在許可
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我々実務家がご依頼者様に対してできることは、裁量の幅の大きさに苦言を呈すことではなく、裁量がご依頼者様の不利益に働かないよう細心の注意を払って事案処理をすることである。
他方で、ご依頼者様の不利益となる可能性のある事実については、ご依頼者様に利益となる方向で説得的な評価や意味づけ等のフォローを行う職務がある。
「簡潔にして、完璧に」を目指し、我々専門家は今日も「すべては笑顔のために」全力でご依頼者様をサポートしていく。