書籍情報
タイトル:魔眼の匣の殺人
ISBN:978-4-488-02796-4
主観的な評価
★★★★☆
読了期間
2019/2/24-2019/2/25
感想
思いのほか面白かったので一気読みしてしまった。
一言で感想を言うと、超常現象と科学的・心理的な推理小説とがうまく融合していると思った。
物語には将来のことを予言できる2人の人物が登場する。特定の日に特定の場所で起こる災厄(ただし具体的に何が起こるかは告げられない)を正確に予言する老婆と、10分後に起こる災厄を絵画にする特殊能力を持った少女。この2人の不思議な予知能力は明らかな超常現象の部類だ。一方で、人間の心理や技術的なトリックに関する細かな記述は推理小説のそれ。普通に考えると推理小説に超常現象を持ち込めばシラけてしまうし、超常現象が存在する世界観の中では推理やトリックは不要になる。この本はそのバランスが上手に取れていて、超常現象による不可解な出来事と周囲にいる人間の行動とが相互作用していく様子がスリリングで面白かった。
シリーズものらしいので他のものも読んでみようかな。
あらすじ
大学のミステリー愛好会に所属する葉村と剣崎は、前作でテロ事件に巻き込まれたようだ。そのテロ事件に関与したとされる「班目機関」と呼ばれる研究機関の足跡を追ううちに、未来を正確に予言できる老婆の住む旧研究施設に辿り着く。偶然同じ日に居合わせた数名と共に施設にはいったところ、「この2日間で男女二人ずつが死ぬ」と老婆が予言する。