今回は思うことあって
随分昔に読んだ作品のレビューです。


吉良忠臣蔵(上) (吉良忠臣蔵) (集英社文庫)/集英社

¥550
Amazon.co.jp

吉良忠臣蔵(下) (吉良忠臣蔵) (集英社文庫)/集英社

¥550
Amazon.co.jp


私は
森村誠一さんのファンでした。

小説の面白さは
森村作品から得たものが多い様な気がします。



森村作品にはまっていた頃が
一番読書量が多かったのは間違いないです。

森村作品を中心に
月に3~5冊のペースで読んでました。

20代後半の3~4年で150冊くらい読みましたから。


今はそんなに読めないな・・・^^;

そしてそんなペースでハマる作家もいないかも。

もちろん、重松清さんや三浦しをんさんは好きで
いずれは全作品を制覇したい
という思いは持ってますが
遅々として進まず笑



そんな森村作品好きな私ですが

はじめて読んだ「銀の虚城(ホテル)」と
読む作品がなくなるまで読むのを避けていた「悪魔の飽食」
(ベストセラーになった作品だったので読みたくなかったww)
そしてこの「吉良忠臣蔵」は
三原順作品同様に
私の思考を構成するものになっています。



タイトルを見て「?」と思われた方も多いかも。

忠臣蔵といえば、
浅野内匠頭の家臣が吉良上野介に仇討ちをする話
ですよね。


なんで吉良?


はい、そうです。

これは吉良家側から見た忠臣の話なのです。




日本人の大半は
吉良上野介は、強欲で保身的で自己中心的な人
そんなイメージを持っていると思うのですが

そのイメージを覆してくれます。



吉良上野介が
指南をする際に手土産や袖の下を要求したのは
古くからの慣習を絶ち切っていいものか
悩んだ末のこと

恥をかかせたのは
浅野内匠頭に
自分の行動に何か非があるのでは?
と感じ取らせるため


そういう設定なのです。



なるほどね。

誰も吉良上野介の真意を知らないわけだから
そこは実際にどうだったという判断はできませんよね。

そういう推測もできるのか


目からウロコでした。


物事を一つの側面からだけ見てると
真実は見えてこない


そんなことを思いましたね。



森村誠一さんにも
なんというか
私と同類の臭いを感じるのです。


(というよりも私が強く影響されたしまって染まったのかもしれないww)


つまり、ひねくれもののはみ出しもの。

大作家をつかまえてとんでもないことを言ってますが
これはいい意味で
ありきたりの思考ではなく、
少しひねって、違う側面を見つけるのが好き
そんな感じの方なのだと思うのです。


実際の森村さんがどうかは知りませんけど・・・笑




そうして

吉良家の家臣は吉良上野介を守るために
戦います。

討ち入りの時も
最後まで守った

家臣が全て命尽きたあとに
吉良上野介が討ち取られた

ということでした。


普通の忠臣蔵では焦点の当てられてない部分で
ストーリーが展開されて行くんですね。


一般的な忠臣蔵では

大石内蔵助のかっこよさや
人の目の欺き方
(そこまでして仇討ちにしがみつくものがなんだったのか、という疑問が今はあるのですけどね)
意志の強さ
そういったものが
やはり人の心を動かすのだと思うわけで

そのために
吉良上野介が悪者じゃないと
ストーリーが面白くない


だから
最初に言ったイメージ像が作り上げられたのではないかと。



これを読んで私は
いろんな面から物事を見ないといけないな
と思ったのです。

既成概念や固定観念は
頭を固くします。


この作品を読んだことで
少しは柔らかく考えられるようになったかも・・・

なんて思います。



実際に今も
優柔不断で、八方美人的な考え方をしていると
自負してますが


よほどのことがないと
自分の意見って言えないですね。


言うにしても
「自分はこう思う、けど違う意見もあるよね」
という風に言ってしまいます。



それがいいか悪いかの議論の必要性も感じず。


この作品も
ラストシーンはなかなか感動的なのです。

興味を持たれた方はぜひ手に取ってみてください。
視野が広がると思います。


名前