
今も忘れない。
ベガルタ仙台が初めてJ1に昇格した日の事を。
あの西京極での涙を。
何故か悲壮感は無かった。
昇格を目の前にしていたあの日。
リードして迎えた試合終了間際、鳥栖にPKを決められ延長戦になり、延長戦でも負け、3位に転落した。
でも気持ちは落ち着いてた。
もうすでに京都行きを決めて、バスツアーも予約していたからかも知れない。
その前の甲府戦でも昇格出来るチャンスがあったにもかかわらず昇格出来なかったのは、最終節まで楽しみなさいと言う事だったのか?
とにかく俺は、前日の夜、仙台駅からツアーバスに乗り込み、京都へ向かった。
京都に行けない友達から預かった段幕と、『京都を食って来い』という意味を込めた紫芋のコロッケを手に。
ツアーには友達と参加した。
今もツレのAだ。
他にも何人か京都で落ち合う友達もいた。
途中気分が悪くなり、バスの中についていたトイレで吐いてしまった…Aが。
それ以外には、バスのアルミホイールが外れ30分程足止めをくった程度で、大きなトラブルも無くスムーズに京都に着いた。
とはいえ、寝てたので、目が覚めた時には京都にいたというのが本当のところだが。
京都で朝風呂に入ってスッキリしてから西京極に向かい、競技場で先に着いていた友達と合流。
友達から預かった段幕を張り、中心部からはやや離れた場所に席を確保し、飯を食う。
その時はスタジアムグルメなんて気にせずに、有る物を食べたような…。
ま、その時はそんな余裕はなかったのかも。
試合が始まる前から気持ちは高ぶる。
カントリーロードを謳いながら皆で手を繋ぐ。
試合は予想通り激しく、なかなか点が動かない。
前節終えて3位だったベガルタは勝つしかない。
後半に入ると選手達にも焦りが見え始める。
特にテルはイライラしてたっけ。
マルコスのゴールが認められなかった時には、悔しかったが、まだ時間はあると思っていたから俺に焦りは無かった。
ノリヲがゴール前に上がった時は、逆に心配になったけど。
…だってノリヲだよ⁉︎そりゃ心配もするって。
で、アディショナルタイムにゴールが決まるんだけど、それでもまだ冷静な俺がいて、2位の山形の試合経過が知りたいのと、まだ時間が残ってたからしっかり守れよ!という気持ちがごちゃまぜになってて。
他のサポーターの人から『延長に入った』
って言う言葉を聞いて、中心部から回ってきた黄色い紙テープをどんどん後ろに回しつつ試合を見てて。
試合終了のホイッスルと同時に紙テープを投げ込んでたら、自然と涙があふれてきてた。
友達も泣いてた。
泣きながら抱き合った。
今の俺が見たら『かっこわりーなー』とか思うかもしれないけど、泣きまくってた。
挨拶に来た清水監督とバンザイをして、選手達皆と喜びあって…。
あんな幸せな日は無かった。
でも、今年、そんな幸せを感じられるチャンスが、まだ残されている。
天皇杯。
元日に会いましょう。