こちらの作品は私のオリジナル作品です。
他サイトで投稿しているものをこちらで載せています。
盗作では有りません。
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目が覚めて
今までと違う若旦那の態度に戸惑いつつ
伊里早の旦那が帰ったと聞き、またズンと身体が重く感じた


伊里早の旦那は、
姐さんは、私を思って相談しなかったと言ってくれたが、それはあくまでも伊里早の旦那の考え

ほんとの所は、私は姐さんにとったら、邪魔な存在でしかなかったのではないだろうか


「………悲しみを押さえて周りに接しているのは。
無理しているとは言えないのかい?」


「はい?」


私は、突然の旦那の言葉に一瞬固まる



「………客や、ここで働いている皆に、君はいつも優しい態度で接していた。
だが、私にはいつもいつも素っ気ない態度で
正直、酷く嫌われていたのかと思っていた


だから、こう言っては悪いけど。
君に何かしら心配してもらいたい、構ってほしくて、無理に酒を飲んでいたり、食事を抜いたりしていた。
今思えば、馬鹿な考えだったと思っている

君が素っ気ない態度だったのは、口を聞きたくない、かまいたくないっていうより
日中無理していた付けが回って無口になっていたんだということに気付けなかったんだから」

「………………」




私は、余りの驚きに目を限界まで見開く

なぜ、若旦那がそれを知っているのだろう…………


なぜ、知ってしまったのだろう……………


気付かずに、そのままいてくれたら……………


どんなに助かっただろうか…………



他人に、とよかく言われる事を避けたい私が、幼い頃に身につけた方法は『お芝居』だった



どんなに泣きたくても、笑うふりをする


どんなに辛くても、笑うふりだけしていれば、余計な言葉を言ってくる輩はいない事に気付いた私。

赤潮に引き取られてからは、1人の時以外はそれで乗り切れるように何度も練習したこともある


それらのおかげか、どんなに苦しい時があっても、笑って過ごすことができるようになっていった



しかし、流石に伊里早の旦那の所へ行くときは、不安や恐怖から泣き叫び、行きたくないと駄々をこねた


澄舞の姐さんに宥められ、姐さんが大丈夫言うんならと
渋々伊里早の旦那の所へ仮身請けされていった


しかし、やはり馴染めない私は、とことん旦那を避けまくった


まぁ、鉢合わせしたら、得意の芝居で笑っていたが、大半は自分に危害を加える人間かどうか、旦那の観察にいそしんでいたり
会わないようにするためにはどうすればいいのか考えを巡らせた