こちらの作品は私のオリジナル作品です。
他サイトで投稿しているものをこちらで載せています。
盗作では有りません。
ポケクリとこちら以外で見かけた方は御一報下さい。
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「…………蘭」
名を呼ぶが、夕蘭はそっぽをむいたまま、こちらを見ようとはしない
短いため息をつくと、私はゆっくり立ち上がり、夕蘭が向いている方に身体を持っていく
「…………何がしたいのでありんすか?旦那は…………」
夕蘭は、さも迷惑そうに顔を歪めながら言い放つ
「…………蘭と話がしたいだけだ
たまにはいいじゃないか………こうやって話すのは、初めてだが…………」
「話?
あちきにはなんもありんせん
早よう旦那も寝てくんし」
蘭は、やや斜めを向いて、そう話す
こうして見ると、本当に子供相手に構っているかのようだ
拗ねている…………と言っても過言ではない
「………伊里早の旦那は、先ほど帰っていったよ」
「……………さよですか………」
夕蘭は、力なく言い放つ
「…………寂しいか?旦那がいなくなって」
首をかしげながら、夕蘭に説いてみる
「別に寂しくもありんせん」
夕蘭は、少し肩を揺らしたが、そっけない態度で否定をする
「…………無理しなくていい
別に、寂しいと思うくらい、人間なら誰でも持ち合わす感情だ
恥ずかしいことも、何もない」
「…………旦那?」
静かにそう言い放つ私を、不審に思ったのか、夕蘭がちらりとこちらを見る
「…………蘭
一言だけ、言わせて欲しい」
「…………何でありんす?急に改まって……………」
真剣な顔になった私に不安そうな表情をしつつ、夕蘭はそう問う
私は、それに対し苦笑を浮かべると、腰を半歩後ろに引かせて、頭を下げる
「………ちょっ!なんですの旦那っ、…………」
夕蘭は、慌てた様子で声をかけてくる
そういえば、こんなふうに慌てた夕蘭の声を聞くのは初めてだと気付く
いろんな夕蘭の声を聞いてみたいと思った
いつも、一定の声色しか聞いてなかったから
しかし、今はそれは後に回さなければ……………
私は、深々と頭を下げながら、そんな事を考える
そして……………
「……………すまなかった」
「…………え?」
私の一言に、短い、小さな声が聞こえた
「………お公美が言ったこと、あれは私を重んじるばかりにかけてしまった言葉
本当にすまなかった
蘭だって辛かったはずなのに…………
そんな気持ちを汲もうともぜず、わがままに振りかざして
すまなかった」
「…………別に、それはあちきやなく番頭はんやお公美はんに言ってくんし
あちきに謝るんは間違ってるでやんす」
夕蘭は、さも困ったかのように言い放つが、私は間違ってはいないと思っている
確かに2人には迷惑はかけた
しかし、私の身勝手な行動のせいで、夕蘭が2人に責められたことは変わりない
深い傷を、酷く開けてしまう行為を、2人にさせてしまったのは私だ
ここは、当事者として、夕蘭に謝るのは筋を通す意味も含め、間違ってはいない