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「何も言わないと言うことは、知ってはいらっしゃるようですね」

ため息をつきつつ、榊原は言う

「…………ええ、
ですが、あちきはちゃんと、言ってはありんす


それでも食べようとしまへんし、やめようともしまへん


やりたいからやってると見たんで、様子をみてる所です」


私もため息をつきつつ言い返す


「一体なにが言いたいんですの?
さっきから意味のわからんこというてますが、はっきり要件をいうてくださいな


回りくどくてかないやしまへん」

睨みながら言うと、榊原はじっと私を見つめる

そして、ゆっくり視線を下に降ろすと、口を開く


「…………少し
しつこいぐらいに若を構ってやって下さい

何より、

女将さん、あなたの名を…………

本当の名を呼ばせてあげてくださいよ」


「…………なんでです?
名なんぞ、なんと呼んでも同じものでやんしょ?」


「同じであれば、尚宜しいのですが…………生憎違うようで

若は納得してないんですよ

夕蘭ではなく、蘭と呼ことを」


苦笑しながら榊原は言う納得してないと言われてもどうにもならん


私は何を言われてもこの夕蘭の名は呼ばせる気はさらさらない



「…………別に納得してもらわんとも、構いやしまへん

一文字違うだけで何がそないに気にいらへんのか

あちきにはようわかりませんが、蘭と呼びたくないなら、あんたでも結構ですわ」


私は、いい加減意味の分からない話はごめんしたくて、言いながら席を立つ


「お待ちください女将さん、話はまだ終わってませんよ」


「これ以上下手な理屈をこねた話なんか聞きたくないわ

旦那が、何をあんたはんに言うとんのか知りまへんが、そんなに心配ならあちきの代わりに旦那と寝たり食べたりをご一緒したらええでしょ

子供やないんやから
始終構うことなんかできやしまへん

構ってほしいなら、どこぞの女子に慰めてもろうたらええんです

あちきらは、元は形ばかりの夫婦

何をしようがかまいやしまへん」