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李穂に先ほど言った言葉は、澄舞の姐さんがいうた言葉


家族を作る


親に捨てられた私らにとったら、嬉しいことこの上ないのだ



「…………なぁ、夕蘭


一つ聞いてもええか?」



少し気づかい気味に、女将さんが言ってくる


なんやろと足を止めて、聞く体制に入る


「…………無理してへんか?」

「………女将はん?」

「…あんたが、澄舞の代わりに身請けされて………確かにこの赤潮の問題は無くなった

そやけど…………あんたを犠牲にして無くなった問題にはかわりあらへん

………頼んでおいて、勝手やけど…………無理してるんやったら………離縁しんしゃい」


女将さんの言葉に、私は目を見開く


「………どないしなすったん?

気の強い女将さんにしては、らしくない言葉でありんす」


女将さんを真っ直ぐ見やり、眉をひそめて問う

「………澄舞が死んだ事で、条件をどう乗り越えていくか、そればっかり考えて…………あんたに、とんでもない頼みをしてしもた…………


時間が経つにつれて…………





まだ16歳のお前に…………なんと重い頼みをしてしもたんか………と、悔いて悔いて仕方ないんや…………」



女将さんは、涙目になりつつ、言う


「人1人の人生を………私らの都合で変えてしもうた…………

ほんま………堪忍なぁ、夕蘭、」

女将さんは、口元に手をあてながら、謝ってきた


「女将さん…………


もうええんです。顔上げてくんし。」


私は、女将さんの肩に手を置き、促す


「お世話になっとる旦那や女将さんの役に立てるなら本望ですわ


それに、澄舞の姐さんとと約束したんよ」

「約束?」

「あい。姐さんが亡くなったあの日…………


姐さんの代わりを立派に勤めるゆう約束です


これは、もう取り消せん約束


途中で逃げ出すような野暮なことはしとうありまへん
それに…………」


私は、しっかりと女将さんを見つめて、言葉をつなぐ


「澄舞の妹分はあちきです

そのあちきが、姐さんの身代わり引き受けるんは当たり前のこと

他の女朗らに、代わりなんぞできはしません


これだけは、譲れない地位であらんす」


「…………夕蘭


有り難う………ほんに………有り難う」


女将さんは、何度も何度も言った

澄舞の姐さんの代わりは、私だけ…………


そう思うてても

よろしいかぇ?姐さん…………