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「いいや、なんでも伊里早という金物屋に行くらしい


そこで仮の身請けされている娘を、金と一緒に交換するんやと



めんどいなぁ」




気怠い感じで言う




「仮の身請け人?

っていうと、赤潮の遊女か

旦那も、お目が高いねぇ!」



八朗は、ははっ!と笑いながら言い放つ



なにが、そんなに喜ばしい事なのだろうか


「………知ってるのか?」


「知ってるも何も、裏じゃ一番有名な遊亭処だよ

仮の身請け人を立て、遊女達を生娘のまま、本身請け人にさし渡すやり方をやっている所なんだ

下手なクセの付いていない、上玉な生娘が手に入ると、騒がれてはいる


ただ、」



八朗は、ふと、言葉を切ってしまう


「………ただ?なんだ……」



怪訝な顔で、先を促す


「…………仮の身請け人が出す身請け金が半端なく高値なんだ


自分の所と赤潮に払う金をいっしょくたに要求する


本当の金持ちじゃなきゃ、赤潮の娘を身請けにはできんのさ」




部屋に入り、互いに向かい合いながら腰を降ろすと、ため息を付きながら言い放つ



「…………よく親父はそんな大金だせたな」


八朗の話を聞いて、内心不安になってくる


「………まぁ、あの旦那なら、そろくらいはあっても不思議じゃないでしょ……なんせ、殿様のご贔屓になってる店だ。心配することはないって」



バンバンと肩を叩きながら、八朗は言い放つ


「他人事だと思って…………」


目を細めて抗議の眼差しを向ける

「まぁ、貰って損はない所だ。

よかったな、若旦那」



八朗はそう言うと、よっこらせと腰を上げて、部屋を去って行った


本当に、何しにここへ来たんだかあいつは…………



苦笑いしか出てこない




嫁…………か



どんな娘が来るのか…………





ふと、外を眺めながら、これから来る相手について、考えた



まぁ、なんとかやっていけるだろう…………


今から不安になっていても仕方がない



そう結論つけて、仕事をするべく、腰をゆっくり上げて、その場を後にした