ペットの皮膚病「疥癬」について
「飼っているペットがむしょうに体を痒がり、そのうちどんどん脱毛してきた」という症状があるのと同時に、「なんとなく自分の身体も痒い、湿疹が出来た」などという場合は、ペットがノミやダニなどの外部寄生虫に感染している可能性があります。
飼っているペットに ノミやダニが感染していた場合、皮膚の弱い人間もアレルギーとして皮膚炎を起こしてしまうことがあるため、その駆除が必要になります。
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疥癬ってなに?
疥癬とは顕微鏡で覗いてわかるくらい小さい「ヒゼンダニ」というクモに似たダニによって引き起こされる皮膚病のことをいいます。このヒゼンダニには「耳ヒゼンダニ」や「ショウセンコウヒゼンダニ」など多くの種類があり、また感染する個体も犬に限らず猫、ウサギ、ハムスター、フェレットなどのペットにも見られます。
ヒゼンダニは体表に寄生し、表皮を食べて生活します。卵を持ったメスダニは皮膚の中に2~3ミリの深さのトンネルを掘り、そこに産卵します。そのダニの卵は通常3~10日でかえりそのまま成ダニに成長し、メスダニ であれば再びトンネルを掘って産卵します。
この産卵から未成熟ダニ、成ダニ、そして再び産卵するダニのサイクルはすべて皮膚の上でおこなわれ約3週間かかります。ヒゼンダニは宿主を離れると1~2日しか生きられませんが、容易に再感染するため注意が必要です。
どうやって感染するの?
ではどうやって感染するのでしょうか?
ヒゼンダニは伝染性がとても強く、ほとんどの場合は直接個体に接触して感染するのですが、このダニが付いてしまっている首輪やブラシなどからも容易に感染します。また、犬や猫を多頭飼いしている家庭や犬舎などでは一匹がかかってしまうと全体に広がることがあります。
なお、感染していたペットから落ちたヒゼンダニがいる場所に、散歩などで別のペットが通ったことでその新しいペットが宿主となり感染してしまいます。そしてその皮膚上で同じように生活観を繰り返すのです。
どんな症状がでるの?
ヒゼンダニは感染すると体表に住み着き、特にメスダニは皮膚の中にトンネルを掘るため痒くてたまらなくなります。この病気ほど皮膚を激しく引っかいたり噛んだりする皮膚病はないほどです。特に毛が少なくやわらかい場所である耳、顔、肘、腹部や、ヒゼンダニが地上からはい上がって感染する場合は四肢にも多く皮膚病変が現れます。
病気が進行すると、そこに厚いカサブタが作られ、その下にはヒゼンダニが更に繁殖します。そして強く掻きすぎてしまうと、その感染部は傷つき毛が抜けて皮膚の炎症が起こります。境目のはっきりしないまだら状の脱毛が特徴で、その傷口から二次的に細菌感染も起こしてしまいます。
また、日にあたるなどして感染した動物の体温が高くなるとヒゼンダニの運動も活発になってしまうため、痒みはさらに増してしまいます。
また、疥癬症になった状態で放置したままにしておくと病変は全身におよび、痒みからくるストレスや栄養状態が悪くなってきてしまうため、体が弱い幼若や老齢の場合は重い症状になってしまうこともあります。
人間 へもうつるの?
疥癬症の犬や猫を人間が抱いたり触ったりすると、人間にもヒゼンダニが感染することがあります。特に抵抗力の弱い人が発症しますが、健康な人でも注意を怠ったりすると感染します。症状としては腕や胸、腰のベルトのあたりなど、体のやわらかい部分に赤い小さな発疹ができて強い痒みが生じます。もちろんその症状は同居している家族全体に及ぶこともあります。
しかし、犬や猫から感染するヒゼンダニは人間の皮膚の上では3週間以上は生きることが出来ないため、症状は一時的なものです。症状がひどく、動物と接触した過去があり疥癬も疑われる場合は人間の皮膚科の医師に相談しましょう。
ヒゼンダニが見つかれば決定的!
疥癬が疑われる場合は、ヒゼンダニを見つけることが診断の基準となります。皮膚の表面を、メスやハサミなどで強くこすってカサブタを掻き取り顕微鏡で覗くと、ヒゼンダニやその卵を発見することが出来ます。
ただし皮膚に掘ったトンネルの中にいる場合が多いので 、ヒゼンダニは見つからない場合もあります。ヒゼンダニやその卵が見つかれば疥癬として診断がつきますが、もし見つからない場合でも、疥癬が疑われる場合には、獣医師は診断テストの意味で疥癬の治療に取り掛かることがあります。
そしてその治療をしてみて症状が改善に向かってくることで、逆に疥癬にかかっていることを確認することができます。
ヒゼンダニを駆除する方法は?
もし疥癬になってしまった場合は、どのような治療をするのでしょうか?
まず、皮膚炎を起こしている場所の毛を刈ります。これによって病気の範囲や程度を知り、治療効果をあげます。そして週に1回程度の間隔で、過酸化ベンゾイルの入った薬用シャンプーなどで症状がなくなるまで洗います。このシャンプーはフケを浮かせて殺虫成分を毛穴に浸透させる効果があります。
また、動物病院でヒゼンダニを駆除するための殺虫剤を注射したり、それと平行して痒みを抑える薬や抗生物質などを内服して治療します。治療を開始して一旦症状が軽減したように見えても再発する恐れがあるので、ヒゼンダニが死滅して完全に治るまでは、獣医師の指示どおり治療を 続ける必要があります。
再発しないためにも環境衛生を保ちましょう
疥癬が見つかり、ほかに犬や猫を飼っている場合にはその動物たちも疥癬にかかっていないかどうか検査を行ないましょう。感染動物と過度に接触させたり同じ寝床を使わせたりしてはいけません。また疥癬の動物を触ったあとはよく手を洗ってから他の動物を触るようにしましょう。
疥癬は動物の体から離れると数日しか生きていけません。周りの環境を徹底的に掃除し、犬小屋、運搬用のケージ、散歩用のリードやトリミング用の器具など、接触するものをすべて消毒し、寝床で使ったタオルなどは熱湯で洗濯するといいでしょう。
疥癬は再感染の防止に努めましょう
疥癬は清潔な環境で適切な治療をおこなえば、多くの場合数週間で完治する皮膚病です。疥癬に感染した原因を突き止めて二度と再感染しないよう注意を払い、ペットのいる環境を衛生的に保ちましょう。
