その日の夜。

義父がお風呂に入るタイミング。

そこが勝負だと、義母は思っていました。


スマホを手放すはず。

パスコードは分からないけど、

いくつか目星はつけていた。


これか、これか、これか…。

どれか当たれば――



……でも、ダメでした。

そんなに簡単にいくわけないですよね。


画面は開かなかった。焦りだけが募る。


一度目のチャンスは、失敗。



そのまま義母は、

義父の好きだった料理を作りました。

何事もなかったかのように。

一緒に夕飯を食べたそうです。

こんな状況でも、

ちゃんと「好きだった料理」を作る。


義母の優しさというか、

まだどこかに気持ちが残っていたんだと思います。


想像すると、胸が痛い。


食事の時間。

これからどうするのか。


離婚するのか。

するなら何を決めないといけないのか。

家のローンはどうするのか。


義母は切り出しました。


「明日帰る前に、息子夫婦と、あなたの妹と、従兄弟も来るからちゃんと話し合いましょう」


義父は、ひとまず納得したそうです。



本当は聞きたかった。

なぜ急に「一人になりたい」と言って出て行ったのか。


でも義父は、ろくに話もせず

さっさと寝室へ上がっていった。


向き合う気は、ないんだね。



その夜。


もうチャンスはないかもしれない。


そう思った、その時。




義父はスマホで映画を観ていました。


そして――


そのまま寝落ち。




義母は静かに近づき、

そっとスマホを手に取った。


画面は、開いている。


震える手で操作しながら、

不倫相手とのLINEを

自分のスマホへ転送した。



ついに。

決定的な証拠が、義母の手の中に。



この瞬間、すべてが動き出しました。


つづく。