その晩は一睡もできませんでした。


何度もスマホに残っていたLINEを思い出して、

あれは夢だったのか。

…そう思いたかった。


朝。私はいつも通り、朝ごはんを作りました。


子供たちを起こして、

いつもと変わらない朝を過ごす。


目の前では、夫がソファで寝ている。


子供たちが起きてきて、夫も起きました。


私は夫に言いました。


「おはよう。」


そして、


「昨日は楽しかった?」


夫の目が大きくなりました。


一瞬、固まったように見えました。


「え?」


「なんで?」


そして、


「まあ……楽しいというか普通に仕事やったよ?」


明らかに動揺していました。


本当は、その場で問い詰めたかった。


誰といたの?


何をしていたの?


このLINEは何?


でも……


私は何も言いませんでした。


子供たちの前だったから。


いつも通り家事をして、

いつも通りの朝を過ごしました。


そして、夫が家を出る時間。


いつものように、

私と子供たちで夫を見送りました。


私は玄関を出ようとする夫の手を握って、


「パパ。」


「ママも子供たちも、パパが大好きなんだよ。」


「だからお願い。」


「もし家族を裏切ってるなら、

今日、全部関係を終わらせてきて。」


夫は、また明らかに動揺して


「…何も心配するようなことはないよ。」


そう言って、家を出ていきました。


その日、私は子供を連れて病院へ行きました。

前日から熱を出していた子供は、


インフルエンザと診断されました。


高熱で苦しそうにしながら、


「ママ……しんどい……」


そう言われた瞬間、


私は涙が止まりませんでした。


子供を抱きしめながら、


「ごめんね……」


何度も心の中でそう思いました。


家族を守ることだけを考えていた私。


そのすぐそばで、


夫は私の知らない時間を過ごしていた。


たった一晩で、私が築いてきた「家族」は、全部崩れ落ちた。


つづく。