目が見えないのに、犬と暮らすなんて。


きっと、そう思う人もいると思います。

実は、いちばんそう思っていたのは私でした。


ちゃんと守れるのかな。

体調の変化に気づけるのかな。

怖い思いをさせてしまわないかな。


命を預かるということは、

「可愛い」だけでは済まない。


私は目で確認することができません。

王子の表情も、しっぽの動きも、

直接は見えない。


それが、最初はとても怖かった。


でも一緒に暮らし始めて、気づいたことがあります。


私は、王子の呼吸の速さで

少しの緊張に気づきます。


足音のリズムで、

今日はちょっと甘えたい日なんだなとわかります。


膝に乗ってくる重さで、

「ここにいるよ」と伝えてくれているのがわかります。


目は見えないけれど、

感じることは、たぶん誰よりも真剣です。


完璧な飼い主ではありません。

家族に頼ることもあります。


それでも、

王子と暮らすことを選んだのは私です。


怖さよりも、

「この子と生きたい」という気持ちが勝ったから。


王子は、私の弱さを知っています。

私は、王子の小さな変化を知っています。


お互いに完璧じゃないけれど、

隣にいる。


見えなくても、

ちゃんと愛せる。


見えなくても、

ちゃんと守ろうとできる。


王子と暮らす毎日は、

私が自分を諦めないための証みたいなものです。


今日も、あたたかい体温が

すぐ隣にあります。


それだけで、十分です。