PK/PDの考え方は学生時代に一度理解した内容ですが、今となっては何が何だか。

復習する機会があったので忘れないようにまとめることにしました。

①薬は体に入ってからどのように分布するのか

分布する場所は、まずはざっくり言って

・血管内　　　・組織内

血漿タンパク非結合薬物：Df

血管内血漿タンパク結合薬物：Dbf

組織内血漿タンパク結合薬物：Dtb

ここで重要なのは、「薬物はそれぞれの場所でどのように存在するか？」です。

キーワードは「タンパク結合率」です。

血液（血漿）中で薬物は、一部は遊離した（非結合）薬物として、一部は血漿タンパク質と結合した状態で存在し、平衡をたもっています。

酸性の薬物は、一般にアルブミンにより強く結合します。それに対し、塩基性の薬物はα１-酸性糖タンパク質（AGP）やリポタンパク質に強く結合します。

薬がその効果を発揮するためには、タンパクから離れた状態、つまり「非結合薬物：Df」として存在し、各種の受容体などへ結合してシグナルを伝達する必要があります。

これをAUCで換算して割合としたものが「非血漿タンパク非結合率（Fub）」です。

血漿タンパクは、先に述べたように塩基性の薬物は血漿アルブミンとα１-酸性糖タンパク質（AGP）などのことをいいます。

＜血漿アルブミン（酸性の薬物と結合:NH3+など）＞

●結合率が高いと言われている代表薬

ワルファリンサイト（サイトⅠ）：ワルファリン、フロセミド、フェニルブタゾン、インドメタシン、フェニトイン、トルブタミド、アスピリン

ジアゼパムサイト（サイトⅡ）：ジアゼパム、フルルビプロフェン、イブプロフェン

ジキトキシンサイト（サイトⅢ）：ジギトキシン、ジゴキシン

＊血漿アルブミン量の変化に関与する状態＊

低下＝AUCf（酸性の薬物）の増加・・・効きやすくなる可能性

・ストレス、外傷

・肝障害

・栄養失調

・加齢

・腫瘍

・妊娠

・糖尿病

・腎障害

・甲状腺機能亢進　など・・・

＜α１-酸性糖タンパク質（塩基性の薬物と結合：COO-など）＞

●結合率が高いと言われている代表薬

プロプラノロールやリドカイン、イミプラミン、ジソピラミド、クロルプロマジン

＊AGP量の変化に関与する状態＊

増加＝AUCf（塩基性の薬物）の減少・・・効き難くなる可能性

※AGPはCPRなどと同様炎症マーカー

状態は上記血漿アルブミン量の変化に関与する状態とほとんど同じ

添付文書ではほとんどが薬物総血中濃度と量で示されているため、これらの因子が血中濃度の上がりに関与していないか、薬剤師としてベッドサイドで確認していく必要があるようです。

薬物動態学①：薬物の体内分布