《マリー》
なんて久しぶりのおしゃべりかしら?
7月も8月も、コロナと雨とであっという間に過ぎたわ。そしてもう9月も半ばを過ぎて・・・
でも自然の美しさは・・・世界で何が起こっても、変わらずにいてくれるのね。
嵯峨野路の爽やかさ、竹林の凛とした美しさに虫や鳥たちの歌声が溶けて・・・
夏の間中・・・小倉池の大輪の蓮の花が次々と開き、ピンク色と白の美しい花びらを見せてくれたわ。
アマチュアカメラマンたちが、花と鳥たちを撮ろうと、大きな望遠レンズをかまえていたわ。
私の姿なんて目に入らないみたいね。
でもママがいつも気になっていたのは、小倉池の主みたいなアオサギのこと。
いつも同じ木の枝に腰かけているのよ。一人ぼっちみたいなの・・・淋しくないの?
でも時々イシガエル君が大きなガラガラ声では話しかけてくれているし・・・
それにセミさんたちの大合唱や、虫たちの歌声が聞こえているから、さびしくないかもね。
でもこの長雨や豪雨の時はどうしていたのかしら?ずぶ濡れ?
ママの大好きなあのオランウータンみたいに、草や葉っぱの傘を作ってその下にいたのかしら?
この女の子はゆずちゃん4才よ。出会ってすぐにお友達になったの。かわいいでしょう?
《夕日ママ》
いつものように小倉池の横をノルディックウオーキングしていたら、4才前後の男の子が沼に向かって大声で話しかけていたのよ。不思議に思って池をのぞいたら、黒い肌の女性が「助けて!」と。
坊やに蓮の大きな葉っぱを取ってあげたくて、竹の塀を乗り越えたんですって。
手を伸ばそうと思ったら、泥水で滑ってドボンと深い池の中に!
「誰か助けを探してくるわ。待っていてね」
周りを見回しても観光客の姿もなく…私は焦って嵐山トロッコ駅方面へと駆け出し、たまたまお客さんを下ろしたばかりの人力車の車夫さんに「池に落ちた人がいるので助けてあげてください!」と。
若い筋肉質の車夫さんなら力と知恵がありそうと・・・。
車夫さんがやっと池から女性を助け出してくださったけど、その女性は泥で下半身濡れネズミ。
男性並みに背が高く、関西弁ペラペラのケニア人の女性。「私はシングルマザーなんや・・・」
車夫さんがすぐに嵐山営業所に電話を入れて下さり、何とか替えのトレーナパンツを車で持ってきてもらい、私もホッと一息。坊やのお父さんは日本人とのこと。
深い泥水に育つ蓮の葉っぱを高い竹の柵を乗り越えて採るなんて日本人の発想にはない?
度肝を抜かれたミニミニ事件だったわ。
観光客がだんだん増えてきて、そのかなりを閉めているのが若者。それもカップルが多い。
着物を着て、マスクを手に持って歩いている人も多くなっていて・・・
小倉山の中腹のある大河内(伝次郎)邸は、竹林の小道を登り切ったところにあって、入口近くに大きな石が数個置かれている・・・私はその大石に腰かけて休憩し持参のお茶を飲むことが多いけど、そこにはなんといつも同じシニアの男性が立っている。
そして若い女性たちがやってくると「ここからの角度が写真撮影向きだよ・・・」とポンと肩をたたいて、それから竹林についてミニミニ講釈をして・・・どうやらこれがこのおじさんの生きがいの様で、大雨や台風以外では、ほどんど毎日若い女性たちに話しかけ「二人並びなさい。写真を撮ってあげるよ。」などなど・・・。
若いきれいな女性を毎日眺めて、すこし話をする・・・それが彼流の老後の楽しみなのでしょう。
毎日毎日、オートバイに乗って、お水とお弁当を持参して朝から夕方まで立ち続けていて・・・
人生いろいろな楽しみ方があるのね。さて私は?そしてマリーちゃんの楽しみは?
マリーちゃんの楽しみの一つはお散歩で出会ういろいろな人とのふれあいかもね。
昨日も突然マリーちゃんが動かなくなって・・・その目の方向を見ると、美男美女の3人連れの若者が!
3人とも犬好きらしくて、すぐにマリーちゃんに近寄ってきて「可愛いね」って。
その3人は、まるでファッション雑誌から抜け出てきたようなおしゃれなモデルさんみたいな若者たち。
実際、モデルさんたちなのかもしれなかったけど・・・。
マリーちゃんのおかげで、いろんな人たちと言葉を交わすことができるので、本当に感謝よ。
9月に入って、コロナ感染者の数が激減してきたせいで、それと比例するように観光客も増えているし、マスクを外して歩いている人もちらほら増えてきたので、要注意ね。人の少なそうな道を選んで歩いているわ。
秋の紅葉の見ごろは、嵐山は観光客であふれることでしょうね。
最近竹林の小道付近で、白無垢のお嫁さんと紋付き袴姿の新婚さんを見かけるようになったわ。
だんだんいつもの観光地嵐山の日常?が戻ってくるみたいね。
どうか、コロナがこのままおとなしくしてくれますように・・・
さて・・・もう少ししたら、北海道のセラピードッグの(元)仲間たちも活動開始かしら?頑張ってね。
日本中が、早くいつもの日常を取り戻しますように!
近所のお家にいる保護猫ちゃんたちだけは、いつもマイペースでコロナも観光客も関係なさそうね。
マリーちゃんが見ても、いつもと同じようにゴロゴロ・・・
地面にごろり・・・
こんな狭い場所にもごろり・・・
またね!バイバイ・・・