こんにちは
昨日のつづきです
盛大なシャンソン発表会の撮影を
ベテラン師匠の代わりにやった私です
撮影翌日に呼び出され
いちおうOKは貰って安堵しました
ところが
数日後にまた師匠から連絡が来て
「シャンソン発表会の写真のことで話があるから来て!」
えっ、他に何かミスでも
おっかなビックリで師匠のところへ行きました
なんか変
師匠が機嫌が悪い
暫く沈黙があって・・・
「あのさあ、この間の写真なんだけど~
依頼者から言われたんだよ・・・
今度から、あの女性カメラマンにして欲しいって。」
「 ・ ・ ・ 」
「お前の撮った写真の方がいいと皆が言ったそうなんだ。」
返事に困りました
素直に喜べませんよ
40年も年に2回、ずっと撮影して来た師匠ですから
「と言う訳で、次回からはお前ひとりでやれ!」
内心、信じられない
でも、うれしい
半々でしたねえ
正直
わたしは負けん気が強いので、
いつか師匠にも撮れない
私にしか撮れない写真を撮ってやる
お客さんが、もっと喜ぶものを
常に思っていました ・・・
腕が上とか下とか
経験が豊富とか少ないではなく
勝ち負けとかでもなく
撮られる側の気持ちをより理解できた方が
きっと今までにない
良い写真が撮れる
そう信じて来たのです
幸い、わたしは音楽が好きです
シャンソンに関しても詳しいほうだし
レアな曲も知っています
たった3分そこいらの短時間の間に、
その曲を歌うひとの人生が詰まっている
ある時、気付いたのです
もしかしたら
腕や経験は敵わないけど、
違う写真が撮れるかも・・・
1番最初のシャンソン発表会のときは
師匠にくっついて行って
武蔵野市のどこかホールだったんですが、
昼の休憩を挟み
約4時間、ずっと撮影
かなり暗いし遠いので
三脚を立てて望遠レンズで撮りました
トイレ休憩しか
師匠とわたしは取れませんでした
終わって一言
「師匠キツイよ、歌が上手いなら未だしも
素人のあまり上手でない人のをずっと聴きながら撮るのは、
わたしには無理かも・・・」
「お前、なに言ってんだ!仕事だぞ。
もっと写真が上手くなってから言え!!!」
当然、怒られました
それから反省して考えました
どうしたら歌が上手い下手に関係なく
皆が喜ぶ写真を撮れるか
あるとき
広いステージに高齢の方が立ちました
そして歌う前に
「去年は入院と手術で、ここに立てませんでした。
でも又いつか此処に立ちたいと思って頑張ったら
戻って来れました。」
90歳の女性だったかな?
そのとき
わたしは初めて感動しました
歌唱力が有るとか無いとかでない
特にシャンソンは
心の叫び
1年近くも絶望の底に居たひとが
また歌いたいという思いでいて
それが叶ったんだ
いつしか私は
彼女の気持ちになって
夢中でシャッターを押しました
それからです
私の写真は変わったのです
約3分間の中のドラマ
その曲を歌うひとの気持ちに寄り添えるようになったのでは、と
あまりに入り込みすぎて
シャッターを押しながら泣いているときも
泣くと
ファインダーで確認が難しいんですけど
その辺から
変な自信が出てきました
何事も
他のひとには出来ない
わたししか出来ないものが有る
そう信じて己を鼓舞してきたのは
間違いでなかった
その後
シャンソン発表会の撮影に行ったとき、
あるお客さま方から言われました
「一目見て、違いがわかったの。
写真のことは全くわからないけど、
みんなで話したの
この女性は音楽を理解するひとだって・・・」
こんな嬉しい言葉を聞いたのは、人生で初
音楽は頑張ったけど
23年間のブランクは思いのほか大変で
お金を頂いたのは、唯の1回きり
でも
大好きな音楽を演奏したり聴き続けたことで、
こういう言葉を頂けた
益々、写真に熱が上がった瞬間でしたねえ
そんなやる気が出た頃、
またまた師匠から呼び出しが
まさか、
わたしの人生を変える一言を貰うようになるとは・・・
おはなしは続きます