No doubt, BABYMETAL is the best Japanese performer in 2016.
SU-METAL can sing with her momental emotion and YUIMETAL and MOAMETAL can dance the best they could.

But the most talented female song writer is "miwa" at this moment, I swear.
Maybe her voice sounds like "Strange" for you as Kate Bush, England.

In spite of her charactaristic behavior, her song always strikes my heart anytime, anywhere.


Though I know Japanese rock and pops is always worth indeed, "miwa" is the hope for us in Japan.


Please check her voice and performance, if you have some interest in Japanese music scene.





ほとんど邦楽を趣味として聴いてこなかった。好きなのは、洋楽ロック・ジャズ。
しかし、仕事として毎日のように邦楽を聴いてきた。

ライブは、ここ25年、平均したら週に2回以上は軽く見ているだろう。

そんな私が、「天才」だと感じて宇多田ヒカル以来の衝撃を感じて応援している(ファンになっている)邦楽アーティストがmiwa。

歌声の好き嫌いはあるだろうけど、歌い方そして楽曲ともに、今の邦楽ポップス・ロックのジャンルでは群を抜いてクオリティーが高い。
いや、ダントツかもしれない。


しかも、miwaは作品を追うごとに個性がよりハッキリと確立し、見事なまでに成長を続けている。
まだ、才能の限界に達する気配を感じない。


しかし、アルバム累計消化数は、下記の通りピークを「Delight」で迎えてしまっている。
※累計売上概算数


①guitarissimo(2011/04/06)  97,000枚

②guitarium(2012/03/14)  88,000枚

③Delight (2013/05/22)  145,000枚

④ONENESS(2015/04/08)  79,000枚

⑤miwa ballad collection ~graduation~(2016/01/20)  39,000枚


ネットで中傷する悪意ある人たちからは、「オワコン」認定されかねない下落ぶりだ。

実に、悔しい。


ONENESS/SMR

¥3,146
Amazon.co.jp



昨年の「ONENESS」はデビュー作、そして2ndの「guitarium」より売り上げを落としてしまっているのだ。つまり、ブレイク前の作品を下回る過去最低の売り上げ。

しかし、作品内容は、文句ないまでにクオリティーが上がっている。


これ、すべてSRの売り方のせいだと思っている。

まず、ジャケット。
なぜ、こんなフワフワした薄っぺらいデザインにするのか。

そして、収録曲「Fighting ...」のMV。
シンガーソングライターにナース服着せて踊らせる神経が信じられない。
彼女は、椎名林檎とは違う。
毒のない素直な彼女がコスプレしたら、それは何のひねりもないただの安っぽい「大衆迎合」としか映らないのがなぜ分からないのか???

彼女の声、作曲能力、アーティスト性を高く評価していた音楽ファンを排除し、「ビジュアル」「ポップな曲調」だけに反応する浅薄な客層目当ての一過性「ヒット曲」に仕立ててどうする???
いいえ変えれば、CDを購入しライブに足を運ぶ音楽好きを切り捨てて、無料アプリで曲を落としてカラオケで歌うだけでライブに行くことない客を大量に引き寄せようとしたわけだ。

曲は、文句なしに素晴らしいのに・・・。


今のご時世にこんなマーケティングをするなんて、言葉は悪いが「バカ」としか思えない。


バカの所業は、プロモーション方法だけでなく、アーティストの作品自体をも踏みにじる。


「ONENESS」は初回限定盤を買ったのだが、付属DVDの編集が、この上なくひどい。

正直に言って特段面白いわけでないmiwaのMCなどすべてカットしてしまえばいい。
アーティストが作った作品を途中でぶつ切りにするなど、まともな制作者ができることじゃない。アーティストへのリスペクトが、かけらさえ感じられない。


楽曲の映像収録時間が長くなると著作権の関係で制作費が高くなるという事情を優先したのだろうか???
いやいや、自社レーベルを支えるアーティストに、そんな仕打ちをするはずもないか。

この時代、サラリーマン気分でアーティストを扱うのであれば、そんな人材は不要だ。



最近の編集盤「ballad collection」は5万枚限定だから数字が落ちるのは当然なのだけれど、たかが5万枚を一瞬で売り切ってしまえなかったことをレーベルは反省するべきだ。

「guraduation」などと、卒業シーズンに迎合しただけのサブタイトルを内容と一切関係なく掲げてしまうあたり、とにかく、アーティストへの愛が全く感じられない。透けて見えてくるのは、会社事情だけ???

もはや詳細はあげないが、アートワーク、封入特典、そしてなによりも付属ブルーレイの編集がひどい。
最悪というレベルをはるかに下回っている。


miwaに関して、ソニーミュージックでなければ、絶対にここまで大きくできなかった。

メジャーレーベルの面目躍如なタイアップ攻勢、TV露出(ゲスト・レギュラー)、文句がつけようのない素晴らしさだ。
miwaちゃんは恵まれていると思う。


しかし、売れてからがまずい。


やり方が、実に古臭い。
露出すれば、売れるといまだ信じている。

いや、露出が悪いと言っているわけではない。
続けるべきだろう。


しかし、露出で引き寄せられてくれる「流行に乗っかっただけの客」ではなく、miwaには、デビューアルバムの頃から支えてくれている、そして新規に流入してくる「音楽ファン」がたくさんいることを、もっと大事にするべきだ。

そして、彼女の才能に魅せられたそうしたファンこそが、長い時間彼女のCDとライブチケットを買い支えてくれるだろう。

「商品のクオリティ」に、もっと真剣に取り組んで、アーティストとしてのmiwaをもっと大事にして欲しいと、ファンの一人として強く願わずにいられない。

「夜空」以降のプロダクション、マーケティング手法があまりにひどくなっている。。。


迷走せず、miwaの才能と成長を信じて、ちゃんとしたクオリティの商品をリリースしてください。




 警官が、私の襟元を絞り上げたまま、大声で詰問してきた。
「なんだ、いまの女は? なんだ、貴様の服装は?」
 なんだと訊かれても、女のことは名前以外なにも分からない。それに、服装は面妖と言われるようなものではなく、ごくありふれたジーンズに紫色のダウンコートだ。警官が権力に任せて横柄な態度で迫ってきたことが、著しく不快だった。
「なんだと言われても、困ります。あの女は初対面だし、この服のなにが面妖なんですか?」
不快感が、表情と声色に反映していた。
「なんだ貴様、本官を愚弄するつもりか? まあ、いい。とにかく、その上着を脱げ! 聞こえんのか? 上着を脱げというんだ!」
警官が掴み上げていた手を離したので、言われるがまま、ダウンコートを脱いで手渡した。彼は、内側のタグを念入りに見て、奇声をあげた。よほど短気な警官のようだ。

「中国製! 中国というのは、中華民国のことだな? え? そうだろ? 貴様、国民党の密偵か? この支那人め!」

私は、警官の言動から考えて、この時代が戦前か戦中であろうと推測した。
戦後であれば、中国といえば中華人民共和国と考えるはずである。正確には、中華人民共和国が誕生するのは敗戦四年後の昭和二四年、西暦一九四九年のことだが、中国に対する敵意の強さから推察して、戦後ではあるまい。

私は、昭和史に詳しかった。それは、生い立ちに深く関係していた。そして、昭和史を知るほどに、反核への思いが強くなっていった。それが結果として、大学で原子力を専攻することにつながっている。昭和六三年生まれだから、その知識はもちろん、書物や映像で仕入れたものに過ぎないのだが。

いまだに、眼前の状況が夢なのか現実なのか釈然としないが、今はそんなことに気をとられている場合ではなさそうだ。

「中国製のダウンコートを着てはいますが、支那人ではありません。日本人です!」
「ウソをつくな! 名前と年齢を言え!」
警官の語調はどんどんと荒くなっていく。私は、咄嗟に偽名を使おうと思いついた。
「近衛文麿、二十四歳です」
警官が恐れ入るだろうと考え、知っている皇族の名を騙った。
「不届き者め! 近衛公を騙るとは許せん。署まで連行する!」
 恐れ入るどころか、逆効果になってしまったようだ。警官は、さらに激しく興奮している。比較的無名な戦国武将の名前でも挙げればよかったと思い、苦笑した。
「何を笑っている?」
警官は、力いっぱい私の腕を掴むと、睨みつけながら言った。
「来い!」

来いと言われても、逮捕されるような悪事はなにひとつ働いていなかった。あまりの理不尽さに、じわじわと怒りが込み上げてきた。
これは現実ではなく、やはり夢なのかもしれない。
私はそう解釈して、再び横柄な態度に出ることに決めた。夢であれば、なにも恐縮し続ける必要はない。
「なんで連行されなきゃいけないんだ? 何をしたって言うんだよ?」
大声でそう叫んだ瞬間、鉄拳が顔面に激しく打ち込まれた。顎の骨に衝撃が走り、数メートル後方によろめいてから、腰が崩れた。
「この支那人め!」
そう喚きながら、警官は地面に倒れた私に対し、容赦なく蹴りを浴びせかけてきた。背中や腹部、そして肩や腕に、激しい痛みが何度も襲いかかってきた。
 こちらを遠巻きに見物する群衆は、誰一人警官を止めようとはしない。完璧なまでに、見て見ぬふり、を決め込んでいる。
なす術がなかった。一方的に蹴り上げられ続けた。この暴行が、いつまで続くのか分からない。身体を丸めて身を守ることしかできなかった。
ところが、次の瞬間、唐突に状況に変化が起きた。
制服警官が、突然目の前にバサっと倒れてきて、白目を剥いて気絶したのだ。
何がおきたのか、全く理解ができない。
私は、警官が完全にのびているのを確かめた上で、亀のように縮めていた首を伸ばした。見上げると、私よりはるかに年少の、小太りな若者が、棍棒を握って仁王立ちしていた。
彼が、一撃で警官を殴り倒したようだ。

「近衛さん、話はずっと聞いてたぜ。まずは、逃げな」
若者は、切れのいい下町言葉だった。
「ありがとう」
だが、逃げるあてなど何処にもなかった。
「でも、どこに逃げればいいのやら……」
途方に暮れてそう言うと、
「なんでぇ、宿なしかい?」
と、その若者がニヤリとしながら言った。
「まあ、そんなものかな……」
自身でさえ自分の置かれている境遇をよく理解できていない以上、他人に対して説明することは出来なかった。けれども、宿なしには違いなかった。
少年は、ぶっきらぼうにでこそあるが、あやしいほどに優しい内容の言葉を口にした。
「近衛さん。じゃあ、ひとまずはウチに来りゃあいいさ! 遠慮はいらねぇぜ」
「よろしく、頼みます」
行くあてがない以上、ここは彼の好意に甘える以外に道はない。少年は、「いいね」と言った後に、名を名乗った。
「オレの名前は松山だ。年齢は、数えで十八、近衛さんより若いだろ?」
数えで十八ということは、私の方が六歳ほど年上だろう。
「さあ、警官が目を覚ます前にずらかろうぜ!」
言うが早いか、松山は下北沢の駅を背にして全速力で駈け出した。私は、息を切らしながら、必死でその後ろをついて行った。


はるか天高く、空を透かす薄らとした雲が広がっている。微かに青さを湛えた大気が、冷たく澄み渡っている。晩秋なのだろう。
木造の一軒家、丸太の電信柱、低く入り乱れる電線。見回すと、そこはごくありふれた住宅街だ。しかし、不思議なことに、全く見覚えのない風景だ。
「果たして、どこにいるのだろう?」
自分がいまどうしてここに存在しているのか、皆目見当がつかない。気絶していたのだろうか? 意識が混乱していて、目を開いたまま身動きすることができない。ただ、路地の一角に茫然と立ち尽くすしかなかった。

 そのうちに、目が、自然と動く存在を追った。
臙脂色の和服を着た中年女性が、十メートルほど先の十字路を足早に通り過ぎていく。訝しそうにこちらを睨んでいるように思えたが、錯覚かもしれない。

しばらくすると、人々の喧騒が、鼓膜の内側を漂うように広がってきた。視覚だけ回復していた意識に、聴覚情報が徐々に加わっていく。和装の女性が十人以上集まって、口々に何か囁きながら、遠巻きにこちらを眺めていた。

「不気味だわ。何なの、あの紫色の男と白い女は?」

 そう、聞きこえた。「白い女?」、なんのことだろうか。慎重に首を捻り、後方に視線を移してみた。背後には白く輝く女が立っていた。
全く見覚えがないその女は、文字通り白く輝いていた。正確に言うと、全身に纏った真珠色の衣服が、ほんのりと発光して見えた。周囲の風景と著しい不調和をなすその白い女は、無機質な笑みを浮かべている。これほど精気が宿っていない笑顔を、かつて見たことはない。確かに、不気味だと思った。
意識がしっかりと回復してきたので、とりまく状況を冷静に分析することにした。

 ここは、どこななのか? 白い女は、何者なのか?

いま一度秋空を見上げてから、目を閉じて記憶を辿ってみることにした。

高田馬場の安居酒屋で大学院の同僚と酒を煽り、小田急線の吊革に全体重をあずけながら下北沢の下宿に帰ってきたのが午前一時過ぎ。PCを立ち上げ、毎日更新しているブログを確認した。すると、原子力発電所を完全に廃止すべきだという私のブログ記事に対して、以下のコメントが寄せられていた。
「大学院で原子力を研究しているということはつまり、あなたは原子力活用で生計をたてようとしているということだ。結局、原子力ムラの住人と同じ穴の貉じゃないか?」
酒の勢いもあってか、私は立腹した勢いのまま反論のコメントを記入した。
「原発を撤廃しようと口で言うのは簡単だ。しかし、原子炉というものは、運転を停止したからといって、すぐに廃炉というわけにはいかない。万全の安全管理を継続しながら、解体処理には何十年という歳月を要する。原発撤廃のために本当に必要なのは、無責任な抗議活動などではなくて、専門的な知識と実行力ではないか? だからこそ、僕は原子力を研究している。間違いなく潰すために、正確な知識を学んでいるだけだ」
 一気呵成に反論して、言いたいことを言い切ってしまうと、襲い来る睡魔に逆らえなくなっていた。ふと机上の目覚まし時計に視線をやると、二時五分を指していた。

記憶は、ここで途切れた。次に意識が回復した時、私はこうしてで秋空を見上げていた。

考えるのをやめて、ゆっくり目を開くと、前方を遠巻きにしていた婦人の数が、さらに増えている。私は勇気を振り絞って、誰ということなく、そちらの方角に向かって話しかけてみた。

「ここは、どこですか?」

どよめきが起こった。しかし、返答する者は誰ひとりいない。どうやら、私の声がはっきりと聞き取れていない様子だ。喉に上手く空気が通らず、明瞭な音声になっていないことが、自分でも認識できた。今度は、大声を出すつもりで、しっかりと発声した。

「ここは、どこですか?」

すると、おしゃべりがぱたりとやみ、人々はそれぞれ別々の方角に、無言のまま散りはじめた。最初に怪訝な視線を向けていた臙脂色の和服女性だけが、相変わらず眉間に皺を寄せながらこちらを睨んでいる。

「ちぇっつ、感じ悪っ!」

勢いあまり、大声で言ってしまった。そして、同時にある発見をして、続けざまに声をあげてしまった。

「そうだ、これは夢なんだ!」

そう考えればすべて合点がいく。ブログ更新途中で睡魔に逆らえなくなり、そのまま机に伏せているのだろうか。あるいは、なんとかベッドに辿り着いたものの、落ちるように眠ってしまったのだろうか。そう、私の意識は、いま夢の中にあるに相違ない!

「夢ではない、現実よ」

すぐ後方から、抑揚のない落ち着いた女性の声が響いてきた。白い女の声なのだろう。振り返ると、先程と同じ非現実的な笑顔で、彼女は直立していた。

「現実? 面白いことを言うね、君は。僕は、酔っぱらって深夜に帰宅し、そのまま眠ってしまった。夢の中ではあるけれど、ハッキリと覚えている」
「夢だとハッキリわかる夢? それは、不自然じゃない?」
「当然不自然さ、夢なのだから」
不毛な議論だと思った。さらにもう一つ、目の前の世界が現実ではない確証を観察していた。

「第一、君自身が夢である証拠だ。君の衣服は、光に覆われている。現実世界に、そんなものは存在しない。さらにいえば、君の容姿が現実ではない何よりの証だ!」
女性は、表情を一切変えず、最初見たままの笑顔で返答した。
「私の容姿?」
「そうだ、君自身だよ。君は、僕が大好きな女優、真希ちゃんと瓜二つじゃないか。いや、声以外は真希ちゃんそのものだ」
白い女性は、一瞬苦笑いをして言った。
「なるほど。PCにたくさんあった画像は、好きな女優だったってわけ……」
「君、僕のパソコンをハッキングしたのか……?」
そう言ってみて、矛盾に気がついた。彼女自体、自分の意識が生み出した夢の中の登場人物だ。私の全てを知っていて、自然だ。
「とりあえず、場所を変えましょう。また人が増えてきたわ」
言われて振り返ってみると、背高帽の紳士、背広の会社員など、確かにギャラリーが増えていた。

「こっちに、行きましょう」
そう言いながら、白い女は私の左手を握った。
「冷たっ!」
 彼女の手は、冷えきっていた。
「冷え症だから……」
白い女は、申し訳なさそうに俯いた。その所作を、可憐でかわいらしいと感じた。そして、手を引かれるままに後ろをついて歩くことにした。彼女の長い後ろ髪を見つめながらしばらく進むと、はるか正面に駅舎が見え、一両編成の旧型車両が停まっていた。

「あれは?」
指差しながら言うと、白い女は答えた。
「下北沢駅よ、幸(こう)輝(き)」
彼女は、唐突に私の名前を呼んだ。けれども、夢なのだから、ことさら驚くことでもなかろう。
「下北沢駅じゃないのは分かる。毎日、使っている駅だからね」
「いいえ、下北沢駅よ」
白い女は、始終笑顔を崩さない割には、頑固だった。
「ところで、君には名前があるのかい?」
 駅の話はそのくらいにして、彼女自身のことが訊きたいと思った。
「勿論! わたしは、ミサ」
「ミサか……。キリスト教的な響きがあるね。ところでミサ、この夢は妙にリアリティがある。まるで、現実のような空気感だ」
ミサは、立ち止まって正面に立つと、しっかりと私の目を見つめながら、少し大きな声で言った。
「だから、さっきも言ったでしょ。これは夢ではなく、現実よ」
「いやいや、現実の筈がない。僕は、こんな場所に来たこともないし、道行く人の服装、街並み、全てに馴染みがない。非現実的だ。ただ、妙に現実味を帯びた質感があるってだけだよ」
ミサは、立ち止まって私を見つめたまま、言葉を選んでゆっくりと語り始めた。

「確かに、幸輝がついさっきまで存在していた世界とは大きく違うわね。けれども、これは『現実』よ。真実なのは、『現在』だけ。『過去』は、通り過ぎてしまってすでに存在しない。『未来』は、未だ存在していない。つまり、幸輝にとっての『現実』は、いまここにある『現在』だけだわ。わかるでしょ?」
「わからない、ミサは難しいことを言う。もっとわかりやすく状況を伝えてくれないか?」

ミサは、両手を握って、顔を近づけて言った。

「つまり、『現在』の幸輝は、『過去』と呼ばれる時間の中で生きているということ。わかるかしら?」
「『過去』にいるだって? そんな莫迦な!」
驚くとともに、顔が歪んだ。
「幸輝が暮らしていた時間から見たら『過去』。けれど、目の前の現実こそが『現在』なの。『現在』の積み重ねの遥か先に、新しい『未来』がある」
ミサの言うことは、ほとんど理解出来ない。漠然と概要を把握するのが精いっぱいだ。
「ようは、これは夢じゃないといことかい? 僕は、過去の下北沢に、まさに存在していると……」
「その通りよ! ここは、現実。幸輝は、時空転移装置でこの時代に送られてきたの。目的は、あなたが生きていた世界とは全く違う未来を生み出すため……。あなたは、選ばれた」
「選ばれた?」
「そう、選ばれた。だけど、今はそれ以上言えない」

「それにしても……」、私は頭の中に渦巻く疑問を整理しながら、順に吐き出した。
「その時空転移装置という機械で過去に送られてきたというのが、仮に事実だとする。けれども、過去に干渉してしまったら、未来が変わるわけだろう? 未来の世界に於いて、君や僕が消えてしまう可能性も否めないわけだ」
ミサは微笑みながら、淡々と返答をした。
「過去に干渉しても、出発点の世界になんら影響を与えることはない。今回の時空転移で、過去に幸輝が存在していたという新しい時間流が生まれただけ。異なる時間流に於いては別の『未来』が待っているけれど、出発点の時間流には影響を与えない」
ほぼ、禅問答の域に達してきた。
理解不能である。
ミサは、相変わらず魂の無い無機質な笑いを浮かべている。すでに混乱し始めた私にとって、その笑顔は、優しくというよりも一層不気味に見えるのだった。得体のしれない不安が襲ってくる。
その時、不意に背後から激しい怒声が響いた。

「貴様たち、その面妖な服装は何だ?」

振り返るよりも、胸倉を掴みあげられる方が早かった。背は低いが、体格のガッシリとした制服警官だ。その背後には、野次馬が先程よりさらにいっそう多く取り巻いていた。
その時、ミサはさっと後ずさりし、みるみるうちに二十メートル以上距離を取っていた。
そして、唐突に別れの言葉を告げた。

「さよなら、幸輝。いずれまた、会いに来る……」

かすかにそう聞きとれたが、それ以上何も語らず、笑いながら手を振っていた。「バイバイ」、と小さくつぶやいたようにも見えた。

「おい、ちょっと! 待ってくれよ! このまま置いていくつもりか?」

叫び終わるか終わらないかのうちに、ミサは全身から眩いばかりの白い光を発しながら、そのまま空間から消滅してしまった。
「あっ!」
 ただそうとだけ声が漏れた。取り巻く群衆から、一斉に驚嘆の声が湧き起こった。