季節には、必ず終わりが来ます。恋にも、愛にも、そして、命にも。形あるもの、ないもの、みないつかは消えて無くなるのです。
今年の夏が終わっても、また来年も、再来年も、どうせ同じように夏は来るよと、そう誰かが気安めに言ったところで、違うのです。
果たして、季節の気まぐれと、人は誰しも、その想いを片付けられるものでしょうか。たとえ愛しい人が、もう逢えない夜にまぎれて消えたとしても、その人を一杯のカクテルにかきまぜて、熱い心のまま一気に飲み干せられるものでしょうか。
夏が終わり、時に「君は1000%」と信じた季節の最期に、そっとピリオドを打てるだけの、無情な自分になれるというのでしょうか。
カルロストシキとオメガトライブは、早かれ遅かれ終わりが確約され、始めから割り切られたグループだったのだろうと思います。それでも彼らは、彼らなりの音楽を歌い続けたし、夢も想いも振り撒いた。
けれども終わりの時には、そのまま去って行った。5年余りの歳月も、その間に歌われ続けた「君は1000%」も、今は聴くことが出来ない。物語を「Endless Summer」と言い残して。
かたや、西城秀樹の「エンドレス・サマー」を思い浮かべる。発売された当時の、「夜のヒットスタジオ」での素晴らしい歌唱映像が、私の知る限りで2種類ある。
この曲は、私が生まれる(1980年07月31日)10日前に、シングル盤で発売された(1980年07月21日)。その歌詞の中で、愛の行方をおそれる彼女が、「このまま貝になりたい」と告げ、それに彼氏が、「今年の夏は終わらない」と言い放つ。
そういう世界に、甘い夢を持つことがある。いつまでも終わらない夏であってもらいたいと。けれども、このシングル盤のB面に収録された「涙のスローモーション」の歌詞が、むしろ私自身の内心に触れる。「愛は人を裏切る」し、裏切られた私自身も、別の人を裏切る。
私の両親も、3歳だった私を裏切った。そうしたことは夏に限らず、また季節を問わず、この世界では無数の愛が、人を裏切る。かくして物語は終わる。もう2度と再び、叩かれないドアの、その余韻だけを残して。
もう、あまりあれこれと言いたくはないし、いつかは終わらなければ、とは思っていた。昨年09月19日、「安保法」や「平和安全法制」と称される、私から言わせれば「戦争法」が、国会で法案として可決・成立されてから、ちょうど11日後で1年となる。
止められなかった心の傷を清算するのに、こうして約1年近くもかかった。そして、私自身の心の夏も、既に終わったのだ。この「Endless Summer」を、そろそろ閉じようと思う。
私は真剣に闘った自負がある。けれども、みんなは果たしてどうだったのか。傍観者や野次の側に居た人々に、恨み節を吐くつもりもない。
君を1000%だと思っていた。私は本気で思っていたし、信じていたし、だから小さな勇気も、或いは小さな涙も、私なりの仕方ではあったけど、5年半(或いは7年)近くも、この物語として散りばめ続けてきた。
この誘いは、この試みは、この思いは、この温もりは、いつまでも続くものではないし、もうドアを叩き続けることに、本音としては諦めてしまいそうなんだ。
また私は、少し進化もしつつ、私のまま再び帰って来る。ひとまず今は、ただ静かに眠っていたいんだ。いつしか1000%を信じきれなくなった、その私が放つ戯言。強い眠気が、スローモーションで、この場から私を引き離そうとする今。さっき飲んだ薬が効いてきた。
思えば、長い夏風邪だった。36年もの病である。そして今頃になって、ようやく風邪薬が効き始めた。私の「Endless Summer」に、更なる眠気が重なる。だから、もうおやすみの手前あたり。
だから最後に、もう一度だけ、そのドアを叩かせて。銀の涙はそのままに、かつての僕が信じた、本当に1000%だった君へ。僕だけの1000%、そう僕だけの。
目を閉じた「Endless Summer」の、波と風の音。甘い夢と、それから苦い嘘にも、みんなこの微笑みでしか、心にして返せない。これでもこれから、僕は新しい場所で、新しい方法を以って、色々と頑張ってみるから。僕なりの1000%を以って。
いつか戻って来る日まで。どうぞお元気で。今までをありがとう。さようなら。
でも本当は、本心では信じてみたいのです。ヒデキが歌った、あの「エンドレス・サマー」の世界を。決して終わることのない、永遠の夏の愛を。
[ 2016.09.08 / 清瀬 航輝 ]
1986年05月01日 発売
作詞 : 有川 正沙子 作曲 : 和泉 常寛 編曲 : 新川 博
1987年02月04日 発売
作詞 : 藤田 浩一、カルロス トシキ 作曲 : 和泉 常寛 編曲 : 新川 博
1987年06月21日 発売
作詞 : 売野 雅勇 作曲 : 和泉 常寛 編曲 : 新川 博
1987年07月15日 発売
作詞 : 売野 雅勇 作曲 : 和泉 常寛 編曲 : 新川 博
1987年11月18日 発売
作詞 : 売野 雅勇 作曲 : 和泉 常寛 編曲 : 新川 博