朗読家・吉永小百合の魅力を堪能!
国民的女優の明るいシングル曲に潜む、人生のペーソス!
「真蒼い空に老松の葉が針のように光っていました。
あゝ、なんという生きることのむづかしさ、食べることのむづかしさ」
日本を代表する大女優・吉永小百合は、1959年の映画デビューから70本以上の映画に主演。
歌手としても活躍し、60枚以上のシングル盤を発売。
70年まで、所属レコード会社の屋台骨を支える人気歌手としても活躍した。
当時、年10曲ペースで発売していた吉永のシングル盤には、なかなかトンデモナイ曲もあり、中でも有名なのが、65年の「奈良の春日野」。
この曲は「奈良の春日野青芝に 腰をおろせば鹿のフン」という、奈良公園の不衛生さを歌った小唄調の歌で、サビで「フンフンフーン黒豆や」を三回繰り返す。
最近、植村花菜の「トイレの神様」を店内で流した飲食店が、客からクレームを受けたというニュースが話題になったが、「奈良の春日野」はそれをはるかに凌駕する内容だった。
「うどんの唄」は、64年の吉永の23枚目のシングル「瀬戸のうず潮」のB面曲。
こちらは「うどんはいいな、うどんはうまい」と、うどんの美味しさを称えたマーチ調の朗らかな楽曲。
全編をロイヤルナイツが歌唱しており、吉永は間奏の朗読パートのみ参加。
林芙美子の「放浪記」の一節を朗読する吉永の声は美しく、吉永の魅力が、容姿や演技のみならず、語りの柔らかさや声質の心地よさにあることに気づかされる。
「食べることのむづかしさ」という林の一節に象徴されるように、コミカルな中にも人生のペーソスを感じさせるのがこの曲の魅力。
「だけど ときどき涙をこぼすんで しょっぱい夜もあるんだよ」というサビは、リスナーの「泣きながら食事した小さな頃の記憶」を喚起させ、ホロっとさせる。
人間にとって、食事は間違いなく楽しい行為だが、反面、生きるために必ずしなくてはならず、そのために働かなくてはならない「枷」でもある。そんな食事の持つ二律背反性を端的に表現した意外に深い歌である。
「うどんの唄」
作詞;佐伯孝夫
作曲・編曲:吉田正
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おもしろ同人誌バザール12
6/26(日) 11:00〜18:00 仙台フォーラス7階 (JR仙台駅より徒歩15分)
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