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映画を観に来たウルトラマンとメフィラス
公園にてー
楽しそうにブランコに乗るメフィラスの話を瞬きもせず一方向を見つめながら聞いているウルトラマン
唐突にブランコからぴょんっと降りるメフィラス
「ところでウルトラマン」
着地が上手く決まったところで目を少年のように輝かせながらウルトラマンを見るメフィラス
「映画は好きか」
「映画、とは何だ、メフィラス」
「まぁこんなところでは落ち着かないな
実際に行ってみるか、ウルトラマン」
ウルトラマンの肩に徐ろに手を置くメフィラス
何も答えないウルトラマン
そのままメフィラス共々公園からワープする
都内某映画館にてー
「ウルトラマン」
「……」
「観る映画は私に委ねるのがベストな選択だ」
何も答えないウルトラマン
興味津々そうに映画館内を観察しているメフィラス
映画のチケットを買う人、映画を見終わり、感想を言う人、売店で食べ物や飲み物を買う人
しかし一歩もその場から動こうとしないウルトラマン
そんなウルトラマンに静かに語りかけるメフィラス
「映画館、なかなか良いところだと思わないか、ウルトラマン」
「……」
「映画は私の好みでいいか、ウルトラマン」
と言い残すとウルトラマンをひとりにし、チケットを買いつつ売店に向かい、歩き出すメフィラス
ー10分後
表情には出ないが、何か慌てた様子のメフィラス
唐突に財布の中身を確認
あまり現金を持ち合わせていないことに気づくメフィラス
「ポップコーンは割り勘でいいか、ウルトラマン」
「……」
「……」
「なぜそんなに巨大な箱のポップコーンを持っている、メフィラス」
しかも2つも、と心の中では呆れた様子のウルトラマン
「君もだ、ウルトラマン。エナジードリンクを持ち込もうとしている、私の苦手なマナーです」
「……」
何か言いたそうにメフィラスを見るウルトラマン
しかし、遮るようにメフィラスはさらに話を続ける
「ポップコーンは割り勘でいいか、ウルトラマン
ポップコーンバター風味、私の好きな…」
「メフィラス、上映時間だ」
メフィラスの言葉を遮り、劇場へ向かおうとするウルトラマン
しかし場所がわからず結局メフィラスの元に戻ってくるウルトラマン
それを察したのか先程のようにウルトラマンの肩に手を乗せ、映画のチケットもぎりの場所へワープするメフィラス
「チケットを拝見します」
チケットもぎりの場所に着き、チケットを出すウルトラマン
しかしまたもや様子がおかしいメフィラス
「私の名刺でも映画を見られるのか、ウルトラマン」
どうやらポップコーンを買っている時にうっかりチケットを忘れてしまったらしいメフィラス
自分よりきっと詳しいはずなのに、少々怒りを覚え始めるウルトラマン
「メフィラス、それは愚問だ」
「…おっと、早くしなければ映画が始まるぞ、ウルトラマン」
能力を駆使して劇場へワープするメフィラスとウルトラマン
呆気にとられるチケットもぎり場のスタッフ
「き、消えた…」
動揺を隠せないチケットもぎり場のスタッフだったが、仕事に支障を来たすので黙々とチケットもぎりに専念
(チケットを紛失、私の嫌いな行為です)
と、心の中で呟きながらメフィラスはウルトラマンを連れ、劇場内に入っていった
劇場にてー
座席に着くとエナジードリンクを開けるウルトラマン
しかし手に持っているだけで飲もうとはしない
変わってメフィラス、至高の食べ物のように顔を歪めてポップコーンバター風味を少量ずつ食べてはたまにポップコーン自体を見つめている
客の入りはなんと映画公開初日だというのになぜかウルトラマンとメフィラスだけ
どんな映画が始まるのか全く知らされていないウルトラマンだが、興味がないようで自分から聞くことはしない
ある程度食べ終わった様子のメフィラスが穏やかな声で語り出す
「仮面ライダはー知っているか、ウルトラマン」
「いや、あまり聞いたことはない」
「そうか」
「……」
「私はこの星に来る前から仮面ライダーのことは知っていた、今日観る映画はシン・仮面ライダーだ」
「そうか」
「お、ウルトラマン。いよいよ始まるぞ!
シン・仮面ライダー、私も好きな映画です」
「私は仮面ライダーBlack Sunも好きだ、ちなみに私の班長に似ている人が…」
ウルトラマンの発言に激しく込み上げる笑いと絶望が交差するメフィラス
「ところでウルトラマン、私が映画だけを目当てに君をここに誘うような輩ではないことは知っているな?」
「ああ、熟知しているつもりだ」
「なら、話は早い。結論から言おう、私はこの地球という星が欲しいほどに好きだ」
「すでに政府と交渉し、後日密約を結び、ベータボックスを人類に託すつもりか」
「その通りだ」
「初めからここが少ない上映数だと知っていたからこその話という訳か」
「備えあれば憂いなし、私の好きな言葉です」
天使の顔した悪魔のようにニヤニヤが止まらない様子のメフィラス
変わってウルトラマン、物語も中盤に差し掛かってきたところでようやく手に持っていたエナジードリンクを飲み始める
「私のやることに口を挟むな、ウルトラマン」
ちょっとずつ食べていたはずのポップコーンがいつの間にか全てなくなり、二袋目を開け始めるメフィラス
こいつはどんだけポップコーンが食べたいんだ、そうツッコミを内心入れ、エナジードリンクをもう一口飲むウルトラマン
「私にこの星を委ねるのがベストな選択だ」
開けたポップコーンを見つめ、ぱくりと口の中に放り込むメフィラス
映画の盛り上がりとは裏腹に段々と表情が曇り始めていくウルトラマン
関係ない、と言わんばかりにポップコーンを食べ、映画を見ながらまた話し始めるメフィラス
「わかっているならどうです?私と一緒にこの星の為に働きませんか、ウルトラマン」
「断る。実力で行使する」
「そうか、それは光の星の掟か、それとも君の中の人間としての本能か、ウルトラマン」
「いや、光の星とは関係ない。私個人としての強い意志だ」
映画はそろそろ終盤を迎えつつあった
楽しむメフィラスとこの先どうしていくかを考えを巡らせるウルトラマン
「……?」
いつも穏やかなメフィラスが眉間にしわを寄せながら映画ではなく、遠くを見ている
ウルトラマン、光の星からの新しい使者の来訪に気づく
「厄介な者が来ている、手を引こう」
「メフィラス」
「君は私の分までシン・仮面ライダーを心ゆくまで楽しんでくれ。さらば、ウルトラマン」
ちゃっかり食べかけのポップコーンを脇に抱えながら姿をくらましていくメフィラス
スクリーンを改めて観る頃にはすでに映画はエンドロールを迎えていた
劇場から出てくると、金色の光に包まれたもう一人のウルトラマンが現れる
ウルトラマンはその使者が誰だか知っていた
彼の名はゾーフィ、光の星からの第二の使者であり、この星の人類の裁定者である
しかし、それはまた別の物語で語るとしよう
なぜなら、物語はまだ始まりの始まりに過ぎなかったからである
〜fin〜