plenty『手紙』 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
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plentyが新ドラマーを迎え、新たな3人体制での新曲。これまでライブを重ね、ロックを体現するという側面に向き合い続けてきた彼らだが、江沼郁弥は再び愛という存在自体に手を伸ばし始めた。これは、名曲「あいという」以降、彼が始めた”それ”自体を解剖していくための第二章だ。

別れをテーマに書かれた歌詞、愛の終りから、遠退くほどに、時が過ぎ去る程に、その存在は大きくなると、しめやかに歌われる。ただこれはひとつの見解であって、これから、幾通りものアンサーを求め、探し続けるだろう。彼らは今、完全を求めてはいないはずだ。スリーピースに戻したことも、模索的な行為だと思う。でも、やはりバンドという未知数さが今の彼らには必要だったのだ。サウンド的に完全に近づいたとしとても、ロックの思想的に完成したとは言えない。

愛という曖昧模糊な存在と対峙していくためには、自らが不完全な存在で無ければ、真実を解き明かすことは出来ないだろう。何故なら、人間として欠落した部分にアイというピースを埋めて始めて、答えは見つかるからだ。彼らはそれに気が付いたのか、今まさにその丘に立ち、完全じゃないスタイルで歌い始めてくれた。これをラブソングと言わずして何というのだろう。