BUMP OF CHICKEN 『RAY』 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
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バンプ、ロックへの帰還、と言える作品だ。モードが変化した理由は、昨年の全国ツアーを経て、彼らがバンドの肉体性に改めて向き合うことになった為だと思う。結果的にそれが楽曲に影響を与え、全体にロックの現象的なエネルギーに満ち溢れている。さらに、藤原基央の声に変化が見られるのも印象的だ。いい意味で初期の歌声に近づいている。つまりロックに噛み合える歌唱へ、彼自身が振り切れていることが、楽曲の力強さを感じる要因だろう。それに沿うようにバンドのアンサンブルも共鳴し、アップテンポ、ミディアムに関わらず、ロックとしての色気が醸し出されている。また、歌詞に内在する物語にも新たな出発点が生まれた。表題曲の「ray」では、藤原基央が彼らしいまま、たどり着いた新しい光が表現されている。「大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない」「大丈夫だ この光の始まりには君がいる」バンドとして光の真っ只中にいる現時点だからこそ、闇に包まれた出発点を忘れることはない、その宣言だと僕は捉えた。『RAY』とは、希望の光を照らす灯台になる事を選んだ、彼らそのものである。