みなさんこんにちは。ミュージカル好きパンダです。

今回は歌詞比較シリーズということで



「塔の上のラプンツェル」より

『I See The Light (輝く未来)』



英語版原詩日本語版詩を比較していきます!







 1A(ラプンツェルパート)

<前半>

All those days watching from the windows 

(窓から外を見つめ続けたあの日々)

いつも憧れてた

All those years outside looking in 

(外の世界を眺めていたあの年月)

一人塔の中で

All that time never even knowing 

(その間、私は全く知らなかった)

外の世界は

Just how blind I’ve been 

(自分がどれほど盲目だったかに)

どんなに素敵か



 英語版は各行の韻が印象的です。「days(日々)」「years(年月)」「time(全ての時)」と徐々に時間の幅が広くなっています。

 また、「blind(盲目な)」の単語によって、この曲のテーマである

過去:暗闇

現在、未来:光

という比喩が提示されています。



 日本語版は各行の韻が無く、詩の内容を伝えることに特化しています。

 また、英語版とは違い、暗闇を表す単語が入っていないため、

過去:暗闇

現在、未来:光

という関係が明確に提示されておらず、この曲の中の「光」という単語の持つ役割が小さくなっています。強いて言うなら、「一人塔の中で」の部分になりますが、英語版よりは暗い印象を受けません。「憧れ」という日本語版オリジナル要素も含め、過去の時点から前向きな性格のヒロイン像になっています。



<後半>

Now I’m here blinking in the starlight 

(今、私は星明かりを浴びてまばたきをしながらここにいる)

今夜は星空の下

Now I’m here suddenly I see 

(今、私は思いがけず、周りが見えるこの場所にいる)

霧が晴れたように

Standing here it’s all so clear 

(すべてがはっきりと見えるここに立っている)

やっと見つけた

I’m where I’m meant to be 

(私がいるべき場所にいる)

私のいる場所



 英語版はやはり韻が特徴的です。1A前半が時に関する単語だったのに対し、1A後半は「here」「where」という場所に関する単語で韻が踏まれています。

 そして、

過去:Blind(盲目な)

現在:Blinking (まばたきしている)

という似ている音の単語で対比されているのも印象的です。



 日本語版は韻が無く、詩の内容に特化しています。英語版では、「it's all so clear(すべてがはっきりと見える)」となっている部分を日本語版では「霧が晴れたように」と比喩を用いて表現しています。この比喩は英語版ではサビでそのまま出てきます。ただ、英語版が「すべてがはっきりと見える場所」であるのに対し、日本語版は「霧が晴れたように見つけた」となっていて、細かなニュアンスは異なっています。



 1B(ラプンツェルパート)


And at last I see the light
(ついに光が見えた)

輝いている
And it’s like the fog has lifted
(まるで霧が晴れたように)

未来照らす光
And at last I see the light
(ついに光が見えた)

夢を叶えた
And it’s like the sky is new
(まるで空が新しくなったように)

特別な夜

And it’s warm and real and bright
(それは暖かく、現実的で、明るい光)

世界はまるで
And the world has somehow shifted
(世界がどうしてか変わってしまった)

昨日とは違う
All at once everything looks different
(突然すべてが違って見える)

ようやくめぐりあえた
Now that I see you
(今、あなたと出会えたから)

大事な人



 英語版ではここでも韻が登場します。『And〜』で始まっていますね。最後だけ『All〜』になり膨らみを感じられます。歌詞の内容としては、「光が見えた」状況や光そのものの様子を詳しく説明しています。1Aパートでの

現在、未来:光

の比喩を受けて構成されています。



 日本語版はやはり韻はありませんし、繰り返しのフレーズも無いです。「夢を叶えた 特別な夜」という歌詞は日本語版オリジナルです。また、「未来照らす光」のフレーズから英語版

未来:光

という関係を直接的に表現しています。ただ、英語版のように未来=光という関係ではないため、細かなニュアンスは異なっています。

 そして、英語版では「あなたと出会えた」から「光が見えた」という因果関係が明示されているのに対し、日本語版では「ようやくめぐりあえた 大事な人」という歌詞と前半の「未来照らす光」についての関係が描かれていないため、曖昧になっています。



 2A(フリンパート)

<前半部分>

All those days chasing down a daydream
(空想を追いかけたあの日々)

いつも気の向くまま
All those years living in a blur
(ぼんやりと生きていたあの年月)

一人生きてきた
All that time never truly seeing
(その間、ちゃんと見てはいなかった)

ほんとに大切なものに
Things, the way they were
(物事の真実を)

背を向け



 英語版では、1Aパートの韻がそのまま2Aパートでも繰り返されています。

 また、

ラプンツェルの過去:闇

フリンの過去:ぼんやりとしたもの

とそれぞれ表現されていて、細かな違いはあれど似た生き方をしてきた2人の様子が描かれています。



 日本語版では、2Aパート内の韻はありません。しかし、「いつも」「一人」といった1Aと同じ単語が使用されていることで、1番と2番の対比は表現されています。

 また、英語版では「never truly seeing things, the way they were(物事の真実をちゃんと見てはいなかった)」となっている部分は「ほんとに大切なものに背を向け」と表現されています。




<後半部分>

Now she’s here shining in the starlight

(今、彼女は星明かりで輝いている)

今夜は僕のそばで
Now she’s here suddenly I know
(今、思いがけず彼女は私の目の前にいる)

君が微笑んでる
If she’s here it’s crystal clear
(もし彼女の居場所がここなら、はっきりしてる)

やっと見つけた
I’m where I’m meant to go
(僕が行くべき場所はここだったって)

僕のいる場所



 英語版では、1Aで「I」であったのが「She」になり、フリン目線でのラプンツェルが描かれています。「shining」と「suddenly」で韻が踏まれています。

 また、1Aで「so clear」だった部分が、2Aでは「crystal clear」となっていて、フリンが輝くラプンツェルを見ている情景がよく浮かんできます。



 日本語版では、フリンはラプンツェルのことを「輝いている」ではなく「微笑んでる」と表現しています。英語版の方が芯の強いラプンツェル像に聞こえるかもしれません。


 2B(デュエットパート)

And at last I see the light

(ついに光が見えた)

輝いている

And it’s like the fog has lifted

(まるで霧が晴れたみたい)

未来照らす光

And at last I see the light

(ついに光が見えた)

夢を叶えた

And it’s like the sky is new

(まるで空が新しくなったみたい)

特別な夜

And it’s warm and real and bright

(それは暖かく、現実的で、明るい光)

世界がまるで

And the world has somehow shifted

(世界がどうしてか変わってしまった)

昨日とは違う

All at once everything is different

(突然すべてが違っている)

ようやくめぐりあえた

Now that I see you

(今、あなたと出会えたから)

大事な人

Now that I see you

(今、あなたと出会えたから)

大事な人



1Bと同じです。


 ​総評

 一般的に日本語は英語よりも同じ時間で伝えられる情報量が少ないため、歌詞として翻訳される際には直訳されることはありません。言葉が精選されていきます。

 この曲は、英語版では韻をふんだんに使って表現されているのに対し、日本語版では韻を控えめにして歌詞の意味を厳選して表現している印象があります。そのため、タイトルである『輝く未来』の意味は日本語版では薄くなっているのかもしれませんね。