最果タヒさんの詩集が原作となった映画を、公開初日に観てきた。

今日会った友達とたまたま映画の話をしていたら、
彼女がこの映画について話し出して、「え!私も観ようと思ってた!」と意気投合。
その勢いで映画館に走ったというのも嬉しい経緯。


…観ました。
映画は、私にとって、ものすごくタヒさんの世界だった。
全く別のストーリーが吹き込まれている、独立した物語なのに、
そして登場人物も全員初めましてなのに、
「あ、あの詩集の映画だ」と思わせる手腕に驚いた。
すごいな。

具体的な人間の生活から「詩」というものが生み出されていく過程は理解できるけど、
「詩」を人間たちの具体的な生のストーリーに還元できるなんて。
こんな演繹的な方法?が成り立つなんて。
驚きました。感服。完敗。


タヒさんの紡ぐ言葉って、ものすごくそそられる。
書名だけでも、『きみの言い訳は最高の芸術』とか。
最初に見た時のやられた感は半端なかったよね。
一瞬で「いやだ、とても好き」ってなった。

でもタヒさんの詩って、私には、
二つ目の句点までは、うんうんと頷いて読んでいっても、最終文節で置いてけぼりにされるようなところがある。
ちょっとだけ私が歳とっているせいなのか、
ちょっとだけ私が健康で鈍感なせいなのか、わからないけれど。
微量の焦燥感と共に、「私の知らない感性だ」と感じてしまう。

そんな私とタヒさんの距離を、
この映画は様々な手法で埋めてくれている気すらした。
って、ちょっと褒めすぎか。