檀家に泥棒することもなく
少女に放火することもなく
君とのさようならのために
この電車に乗り続けている

本屋に詩人を売り飛ばし
花を買って花を買った
出会った駅を忘れないために
君とのさようならのために
この電車に乗り続けている

鉛筆の香りがしていた
葬儀屋のとなりで
秋のぬるい陽に照らされて
笑っていてほしい、まだ

君とのさようならのために
知らない駅を知るために
車輪はずるい音を立て
かの秋の日をゆきすぎた