ネットで知り合ったとある女の子と絶縁して、もうすぐ一年が経とうとしている。
自分の生き方は常に間違っていない、という考えの元に動いているため、こうして今も彼女と復縁する気がないのは己の信念を貫いているからか、はたまた単なる頑固だからなのか。
…まだ普通に会っていたころは、あんなにも仲が良かったというのに。
いったい自分は何をしているのだろうか。未だに、悩んでしまう。これで良かったのか、自分のしたことに間違いはなかったのか。
否、間違っていない。そう思っているからこそ、今の今まで、彼女のことは考えていなかった。
なのに、なんだ。このモヤモヤは。
「・・・朝か」
自室のベッドに横になったまま、枕元にあったスマートフォンを手に取り時計を確認する。午前6時10分を回ろうとしているのだと気づけば、深くため息をつく。
一睡もしていない。彼女のことが頭によぎってから、この調子だ。
今回が初ではない。ここ数週間、何回もだ。ひどい時は夢にも出てきた。内容はとっても楽しい夢で、和気藹々と雑談していたり、恋人になったりしていた。
こんなもんだから、仕事も不調だ。日課のネットもなんだかやる気が起きず、挙句には無意識のうちに彼女のアカウントを検索しては書き込みをストーキングする体たらく。
馬鹿げている。自分から絶縁した訳ではないにせよ、これはあまりにも痛々しいのではないのだろうか?
しかも、彼女彼女と言ってはいるが、ここでとっても重要なことを言わせてほしい。
自分は、彼女とは恋人関係にはなっていない。
あくまでも、ネットで知り合った友達…だった。気にはなっていたが、あくまでも友達という関係での話しだ。第一、そんなに可愛くもない。
それに、自己表現がとてつもなく下手くそで、嫉妬深くて、語彙力が皆無で精神がガキで、何もかもが中途半端でおっちょこちょい。
だから、目も当てられなくて・・・
「・・・」
ああ、もう。まただ。
考えるだけで腹が立つのに、また彼女のことを考えてしまっていた。
時間の無駄だ・・・やめよう。
や、やめ・・・
「・・・ちっ」
こんなになっても、まだ忘れられないのは。
どうやら、かなりの病気らしい。
・・・もう少し時間を空けて、それからどうするか考えよう。
彼女のことも、時間が経てば落ち着くだろう。
きっと、ちゃんとゆっくり話せる時が来る。あの日のように、二人きりで早朝の公園のベンチに座って話して。
もう一度、言ってもらおう。
好きだよ、って。
「・・・はは」
馬鹿みたいだな、ともう一度心の中で悪態をつけば、静かに目を閉じる。
また夢の中で、彼女と笑いながら話したいな。なんて思いながら。
・
「きっとこの悪い関係も、もっと仲良くなるための試練だとしたら。」