小学校の教室では、色々なドラマが起こります。
低学年の教室に入ると、授業中に床に寝転がっていたり、席をふらふら立ち歩いている子とよく遭遇します。
もうお昼も近いというのに、ランドセルが机にでたままの子も。
担任の先生からは、離席している子を席につかせ、用品は自分で片付けさせるように頼まれることが多いので、クラスに何人かいるふらふらしている子に声をかけて回ります。
ランドセルを片付けられない子の場合は、学校のルールがまだ理解できていない場合があるので、紙にやるべきことの手順を絵と短い文で書いて、その子の机に置いておきます。
立ち歩きをしている子には、仲良くなってから、何か困っていることはないか聞いてみます。
ないという返事がほとんどですが「何かあったら、一緒に作戦を考えるから教えてね。」といつも伝えるようにしています。
そうすると何回目かに会ったときに、困りごとを教えてくれることがあります。
先日、小学1年生のクラスで、周りとすぐにケンカになり、体育や授業に参加するのをひどく嫌がるAさんが話を聞かせてくれました。
A「保育園のとき、いつも走るのがビリだった。習い事のスイミングでも一生懸命バタ足をやってるのに、あとからきた子にみんなぬかされちゃう。妹はおいかけっこが大好きで、よく一緒に走ったけど、今は走るとお腹がぎゅってなって、いたくて悲しくなるから一緒に走らない。保育園では、ずっとみんなから嫌われてたんだよ。」
「頑張ってるのに、悲しい思いをすることが多かったんだね。今までたくさん我慢してきたんだね。」
A「うん。みんなはお腹がいたいときに先生に言うと、走るのを休めるけど、私はお腹がいたいって言っても、我慢して走りなさいって絶対に言われるもん。」
その日は体力測定で走ることになっていて、朝からずっとイライラしている様子でした。
「うさぎとかめのお話は知ってる?ゆっくりのんびりに見えるかめさんも、自分のペースで進んでいけばゴールにたどり着くんだよ。私も学校に通っていたときは、かめさんみたいに走るのが遅かったよ。」
A「私以外にも、かめさんみたいな子がいるの?見たことある?」
「たくさん知ってるよ。きっとこの教室にも、かめさんチームの仲間はいるよ。そういう子を見つけたら、一緒に応援してあげよう。」
A「走るのやだよ〜。」
しぶしぶ体操服に着替えて、運動場へ。
A「誕生日に買ってもらった靴が汚れちゃう。今日は絶対に走りたくない。」
「体を動かすことは、とっても体に良いんだよ。靴さんも、役にたてて喜んでるんじゃないかなあ。」
A「嫌だなあ。でも、ゴールのところで待っててくれない?」
「わかった。」
そんなこんなで無事に走る記録をとることができました。他のみんなも勝った負けたと大騒ぎ。
「私のことも応援してくれてた?」
「僕の走るの見てた?」
「もちろん!」
Aさんと一緒に、走るのがゆっくりな子や、走り終わったあとにお腹がいたくなる子を見つけては、同時に顔を見合わせました。
走るのが速い子が、もっと足の速い子に負けてくやしそうにするのを、静かに見ていたAさん。
体育が終わり、同級生と手をつないで、嬉しそうに教室までかけて行きました。
学校の先生のように、たくさんの子を一度に見るのは大変です。支援員として私ができるのは、一人ひとりの話を聞いて共感してあげることです。
イソップ物語の『うさぎとかめ』が子どもに響いた話を、その日テニスで一緒になった支援員の友人にしたところ「りく亀を飼ってたことがあるけど、あの子たちめちゃくちゃ足速いよ!走らないと追いつけないときあるもん。」と言うのでびっくり。
童話にでてくるかめは、きっとゆっくりのんびり…ですよね!