憲法の起案の作法5
「被告の反論は痴話喧嘩にならないように指摘する」
被告の反論は配点が10点かそこらだろう。
余り紙面と時間をかけてはいられない。
しかし、被告の反論を効果的に据えなければ、私見で充実した議論をすることは出来ない。
よく「噛み合わない」議論であるという指摘がされる。でも何が噛み合った議論で何が噛み合った議論ではないかを具体的に指摘してくれる人は多くない。最近出てきてるけど…
一言で言えば「痴話喧嘩」にならないようにってこと。
よく、カップルが
女:いつも他の女とばっかりいちゃついて!私のことを構ってよ!
男:お前だっていつも男とばっかり飲みいってんだろ!
…ギャーギャー…
みたいなのを見かけますね。これは噛み合ってない。
「お前だっていつも…」というのは、女性の主張を「受けたもの」ではありません。独立した主張として成り立ちます。男性としては、「その女性は職場の人であって、女性の主張は前提を欠く」だとか、「彼女と会う機会はもうほとんどなく、自然消滅状態であったんだから、他の女性と飲みにいこうが構わない」だとか、女性の主張そのものをたたくものでなくては噛み合った話にはならないんです。
※上記は実体験を元にしたものではありません。彼女ができたら大切にします。
憲法の答案でみてみると…平成23年憲法の問題で、原告は表現の自由を主張してきたら、被告は経済的自由であると反論する人です。これは、上記の痴話喧嘩と変わらないということは分かるでしょうか?もし、経済的自由であるという反論をするにしても、まず、表現の自由ではないということを言わなくてはなりません。そうしなければ噛み合っていません。
経済的自由なのか、表現の自由なのかは私見で述べればよいんです。「被告の反論をポイントだけ示して…」というのはそういうことでしょう。
もっと、法的にいうと、主張立証構造を意識するんです。要件事実の世界をイメージするとわかりやすいです。
所有権に基づく土地明渡請求訴訟を提起したのに対して、相手方が所有権喪失の抗弁を出してきた。それに対して原告は所有権は私にある。あなたにあるのは借地権だ。なんてことは言いませんよね?土地を返してもらいたいのに、わざわざ被告をアシストするようなことはしません。
憲法も同じで、原告の憲法上の主張に対しては、憲法上保障される権利ではないという反論が最も適切でしょう。わざわざ、あなたの権利は、表現の自由ではないけれど、他の人権カタログで憲法上保障されていますなんてことは言いませんよね?
ってことだと私は思っています。