持たざる事は不幸だと思っていた。

お金はあった方がいいし、容姿は整っていた方がいい。

私の知り合いのイケメンが3人亡くなった。2人が自殺し、1人はバイク事故で亡くなった。

そんな事が立て続けにあり、私の中では「美人薄命」ならぬ「イケメン薄命」という言葉が生まれた。

自殺した2人の1人は宮崎あおいちゃんに似の可愛らしい感じの男の子。もう1人はミスチルの桜井さん似のハンサムな顔立ちをした人だった。この2人には共通点があって、神経質で厳しい人達だった。私はこの2人にとても厳しい言葉を投げかけられて、人格を否定された事がある。非常に傷ついた。今思えば他人に厳しく、自分にも厳しく、繊細で彼ら自身も中に激しい痛みを持っていたのだろうと思う。

女っけは無かった。彼らに好意を寄せている女の子はいて、彼女を作ろうと思えば出来たはずだ。でもそういうことはせず、絶えず自分の中のものと戦っていたように思う。

バイク事故の彼は、長瀬智也似のイケメンだった。性格も優しくて、気遣いが出来て穏やかな人だった。優しい両親がいて、頼もしい兄弟がいた。とても環境に恵まれていた。今思えば、与えられているものが多すぎて、自分自身で得たものが無く、彼なりに埋められない虚無感があったのかなと思う。事故だったので自ら死を選んだわけではないけれど、命への執着が薄く、ふんわりと生きていたように思う。

私自身の本当に個人的な見解なのだけれど、おそらく3人ともぶさいくだったらまだ生きていたような気がする。

「こんちくしょー」の根性とか女にモテたいとか、「くっそー」と思う気持ち。獲得しよとする精神。野望。願望。欠落したものを埋めようとする気持ち。

持っていないと進まねばならぬ道ができる。この道は険しく果てしない。たくさん走らないといけないし、強い精神力も必要で、欠けているものを埋めるために必死にならないといけない。でも進み甲斐がある。それを得ようとする欲望がある。

伸び代を用意されていない事は、それはそれで苦しい事なのかなと思う。欠乏していない心はそれはそれで空虚なのかなと。

容姿は整っていた方がいいし、お金はあった方がいい。けれど、人生に目標がある事。進まねばならぬ道がある事。悔しいと思う事。なにくそと思う事。持たざることは強さを生む。生きていく強さを生む。

彼らが亡くなって、彼らの見る事の無かった未来の中を生きていて、そんな事を考えた。