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新居に引っ越して、少し経った。
越してきた町は花火とお祭りが有名で、そのことを少しだけ楽しみにしてもいた。
夕食を終えたなんでもない時間、どこからか聞こえてくる「ドン、ドン」という音。
花火の音というのは、いつもそれだと気付くのに少し時間がかかる。
家族みんなで慌てて2階にかけあがり、寝室の小さい窓から外を見た。
やはり、見えた。
隣町の花火だったが、予算をケチって小さくした窓からも、のぞくように見ることができた。
まだ小さい子ども二人を夫婦で抱っこしたり肩車したりしながら、小さな窓の前でせめぎあって見た。
幸せだと思った。