今回は、活杙神 ~防壁内を活かす女神~についてお話をしていきます。古事記・日本書紀では知られていますが、神社等では余り馴染みのない神です。単独で祀られている神社もほぼ有りません。神世七代の神の一柱です。(シリーズ 11/85)
【性別・別称】
女性の神様で対偶神(男女一対で出現された神の事)です。角杙神(つぬぐいのかみ)と一対で出現されています。神世七代( 神代七代、天神七代)とも呼ばれます。
【神名】
活杙神(いくぐいのかみ)(古事記)
活樴尊(いくぐいのみこと)(日本書紀)( 先代旧事本紀)
【神格】
悪霊邪気の侵入を防ぐ防塞女神、生成神
【御利益】
開運招福、五穀豊穣、厄除け
写真 忌部神社(写真:wikimedia commons)
【活杙神とは】
神世七代の第四代の神様です。男神の角杙神と対偶をなす女神で、名義や神格に共通性があります。『杙』の部分が共通しており解釈が同様になります。学説は様々あり解りにくいです。
《活杙神の神名解釈》
~活(イク)に関しての解釈~
「活」は、活日(イクヒ)、生魂(イクタマ)などのイクと同じと考えて、生命力の象徴と考えられています。
~杙(くい)に関しての解釈~
①地面に打ち込む杭とする説の場合(神名信仰を考慮した思考)
古代の湿地農業では土留の柵や杭が重要だった為その湿地に関連する神とする説
村落や家屋の境界に打ち込まれる木の枝や棒杭の風習に関連づけて、悪霊邪気の侵入を防ぐ防塞神とする説
棒杭を依り代として降臨する神の形象化とする説
②地中から植物が生える事とする説の場合(神世七代に基づく思考)
生命力の象徴と捉え、神体の形成過程において出現しようとする最初の形が、わずかに顔を出すことの比喩的表現とする説
→簡単に言うと、種から双葉が出るという比喩的な表現ということ。
《神世七代の中での位置付け》(角杙神・活杙神共通)
○神世七代は、国土の形成を表す立場から
宇比地邇神・須比智邇神で国土が固まったことを受けて、角杙神が神の原形となる杭の発生、活杙神がその活動を表すとする説があります。
○神世七代は、岐美二神の身体(神体)の完成の過程を表す立場から
宇比地邇神・須比智邇神で生じた原質の泥・砂から神の形が初めて発生することを表すとする説があります。
《学説を整理する》
学説を整理すると、記紀の連続性を考え神格を考察した説と、時代背景及び神名に由来した考察をした説になります。それぞれを簡潔まとめると左記のようになります。
①記紀の連続性を考え考察した説(記紀の神話、神世七代を重視)
活杙神が『神の原形となる杭』の活動を表すとする説
②時代背景及び神名に由来した考察をした説(信仰を考慮)
柵や杭で、土留や治水、村落の仕切り、防壁を作っていたので、その杭に神が宿り集落を守ってくれるという考え
《漢字から読み解く》
活杙神
活樴尊(杙と樴は同じ意味の漢字です)
勢いよく流れる水を 杙で制御する 神
~和製タロットカードの説明~
和製タロットカードでは、角杙神を大アルカナ領地11にしています。
【カード解説】
◎占術神格︙防壁内を活かす女神
■正位置︙強固な守護、平常心、協力
■逆位置︙無防備、乱心、わがまま
【カード意味】
絶対防御で守られている環境で内部を充実させて温な生活を行っていく。ただ守られるだけではなく心も充実し協調性をもって生活をしていく。生命力に溢れたカードです。
対となる角杙神を支えていきます。女性の内面的な本質部分である母性本能を表しています。集落の長の嫁という立ち位置で女性の長。俗に言う「母は強し」「肝っ玉母さん」を体現したようなイメージを持って頂ければ良いです。
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~活杙神から一言~
活杙神とはどのような神か解らない方がほとんどだと思います。実際にはどのような神なのか、当神に訊いてみたいと思います。所説ありどれも正しいように思えますが…。
私
「活杙神さまこんばんは。初めまして。よろしくお願いいたします」
角杙神
「はい。よろしくお願いいたします」
私
「まず初めに、どのような神様なのか?まったく解らない人が多いので説明などよろしくお願いいたします」
角杙神
「はい。まず、前項記載の通りある程度は、語られていると思いますよ。付随した事項としては、《守る》という事柄に特化しているということですね。古来、人々は集落を作り生活をしてきました。これは、農耕文明が栄える以前より行われていることです。集落が固定化されていなくとも、人々が集団で住み移動しを繰り返してきたのは同じです。私達夫婦の神は、それぞれ役目があり相互に協力しながら各個の集落を守ってきました」
「集落を守るのは、何故か?といえば、それは第一に狼やら野獣から守るということ。第二に蛇やら虫やら外敵から守るということ。第三に他の集落との距離を取り干渉しないようにすること」
「そのようなことを目的とした神です。また、見えざることで言えば、その土地に住まう見えざる者から守るという意味もありました。そして、集落で亡くなった方々が彷徨わず無事に天にいくための手伝い的な役割もありました」
私
「わかりました。えっと、男女の神としての違いはあるのでしょうか?」
角杙神
「えぇ、もちろん在りますよ。女性の神である私は、主に生命に関する事柄が多いです。《産む・没す》《精霊・地霊》などですね」
「もっとわかりやすく言えば、生命の生まれる事柄と死に関する事柄」
「土地にいる精霊やらその土地で亡くなった生物に関する事柄」
「このような物事について浄化ないし清めを行い厄災から集落を保護するのが役割ですね」
私
「えっと・・・伝染病的な事柄やらは含まれるのでしょうか?」
角杙神
「えぇ、そうですね。現代では伝染病は生物所以と判っていますが、古代では判っていません。《祟り・神罰等々》と言われていました。故に浄化・清めという事柄に該当します。現代に於いても生物関連ですから同じですけどね」
私
「わかりました」
「現代に於いて、あまり有名ではない神になってしまっています。忌部神社とかで祀られていると聞いています」
「現代人がご利益信仰も失礼なのですが、どんな感じで祈願したり感じたりしたらよいのでしょう?」
角杙神
「えっと、そうですねぇ。ご利益信仰というのは、致し方ないです。何もしないのに感謝できませんし、何も解らなければ信仰も何もないでしょう。〇〇の加護やら神徳やらご利益があるから願ったり信じたりするのですから」
私
「そうですね。実際は肌で感じ実感しないと心からの信仰やら崇敬など生まれないですよね」
角杙神
「えぇ、それはいつの時代も同じです」
「ですから、私たち夫婦神でもそれは同じ。どの神々もそれは同様ですよ」
「ですから、何もしなかった者が、真剣に真摯に祈願し願えば割と叶うのです。信じてもらいたいから」
私
「あ~それはよく聞きますね。あまり神社仏閣への崇敬がない人が真剣になって願ったら叶ったとか」
角杙神
「そうです。そう何度も連続して叶えることが出来る訳では無いのですけどね。俗にいうビギナーズラック的?なものですね」
「お試しで信仰してみませんか?こんな良い事がありますよ!という神々の広報活動です」
私
「あ・・・って言うことは、祈願内容は適当でも構わないということ?」
角杙神
「そうですねぇ。あまりに馬鹿げた内容とか欲塗れで濡れ手に粟のような・・・等々の内容でない限りは。いいのでは?」
私
「でもでも、神々によって加護って違いますよね?」
角杙神
「えぇ。違いますよ。現代風に言えば厄除けの神とでも思ってもらえば解りやすいですね」
私
「そうですよねぇ。祈願しても叶えるって内容でもないですよね。ある意味、保険的な神様ですものね」
角杙神
「そうですねぇ。転ばぬ先の杖的な神ですかね」
「祈願はそんな内容に拘らなくてもいいんですよ。大雑把に《幸せになりたい》でもいいんです」
私
「え~~!」
「どの神々も大雑把な祈願って解りにくいから嫌がる傾向って思っていました」
角杙神
「あら、そんなことないですよ。中途半端に詳しく言うから嫌がられるんですよ。特に指定がなければ《幸せになりたい》《充実した気持ちでいたい》などでいいんですよ。そのほうがこちらも楽です」
私
「は~い。わかりました。なんか仰々しく色々細かく言わなきゃって思ったりもしましたが、そういう方法もあるんですね」
角杙神
「ええ。そうですよ。究極的には、人が幸せを感じるのは、物欲ではなく心の充実です」
「心が満たされればそれでいいのではないでしょうか」
私
「そうですね。それが一番ですね」
角杙神
「えぇ。現代に欠けているものがそれですね。物に溢れてはいますが、心は満たされず、生活は豊かに見えますが、物が豊かなだけで生活にゆとりがない人々が多くいます。心配ばかりで婚姻やら出生やらが減ってきていますね」
私
「そうですね」
角杙神
「日本という集落が栄えられず衰退するのは見てられません」
私
「はい」
角杙神
「何か機会がありましたら、是非、己の幸せを祈願してみてください。それは、私でなくても良いのです」
「どの神々でも構いません。己の幸せやら充実を願ってください。それが今の神々の願いでもあります」
私
「有難うございました」
角杙神
「はい。またの機会にお話ししましょう」