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マルチニーズシステムのブログ

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ITmedia ニュース 10月2日(金)16時32分配信

 世界3000万ユーザーを超えたミクシィのスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」が間もなく2周年を迎える。「スマホを囲んでみんなでわいわい遊べるゲーム」というコンセプトはSNS「mixi」の運用経験から生まれたという。メディアミックス、海外展開などゲームにとどまらず攻勢を続ける、カルチャーとしての「モンスト」が目指す先は。


 アクションRPG「モンスターストライク」は、モンスターを指で引っ張って弾くシンプルな操作、最大4人まで同時に遊べるマルチプレイなどで人気を集めるスマートフォンゲームだ。2013年10月にリリース後、口コミが中心となって人気が広がり、同年末には100万ユーザーを超えるなど、ハイピッチでユーザーを拡大。北米、韓国、台湾、香港・マカオでもリリースし、5月には世界累計で3000万人を突破した。

 「モンスト」成功の秘密は「みんなで遊べること」。ユーザー層は、大学生をボリュームゾーンに小中学生から大人まで年代を問わず幅広く、家族で楽しんでいるという声も多いという。

●「みんなでわいわい」が足りない

 13年初頭、本格的にスマートフォンゲーム開発の企画を始めた時、すでに人気作は多く生まれていた。多くのゲームに触れ研究する中で、プロジェクト総監督・木村弘毅さんが気になったのは、1人で黙々とやり込むゲームが多いことだった。みんなで一緒に楽しむゲーム、人と会話を楽しみながらできるゲームを作りたい――そう考えたのは、SNS「mixi」の運用経験があったからだという。

 動画や文章などSNS上のコンテンツの多くは、ユーザーがそれぞれのタイミングでログインして楽しむ「非同期型」だ。木村さん自身も「サンシャイン牧場」をはじめSNSと連動したゲームを運用する中で、「非同期型コミュニケーションが当たり前になっているからこそ、実際に顔を突き合わせて遊ぶ同期型の面白さを提案できないか」と考えていた。

 「ゲームは好きなんですが、ゲーマーかどうか聞かれると、迷ってしまうんですよね」――「みんなで遊ぶ」を追求したコンセプトには木村さん自身のゲーム体験が関わっている。これまで没頭したタイトルはプレイヤー同士の対戦や通信が重要なゲームばかり。あまりにハマりすぎた学生時代は、ゲームセンターにある格闘ゲームのアーケード機を中古で購入し、家に置いて友達とプレイしていたくらい――と笑う。逆に、長編RPGの有名作は「ほとんど通ってこなかった」と言う。

 「自分にとって、ゲームはコミュニケーションの大事な1つの手段。時代に逆行しているかもしれないが、家族や友人をベースにしたソーシャルグラフとは違う、物理的に近い距離でみんなで画面をのぞきこんでわいわい楽しむゲームをスマートフォンで作ってみたかった」(木村さん)

 開発前後は、SNSが浸透による“ソーシャル疲れ”も少しずつ話題にあがっていた頃だった。「モンスト」はあえてmixiやその他のSNSのアカウントと連携せず、ソーシャルグラフと完全に分離。逆に、SNSでバイラルしやすい施策や、目の前にいる人をその場で招待しやすい仕組みを取り入れた。ゲームシステム自体も協力してプレイした方がプレイヤーそれぞれにメリットがあるようにし、リアルな場所で口コミが広がることを想定した。

●「SNSが広がっていく瞬間に似ている」

 「画面を上下分割して使うのではなく、全体をフィールドにした方が1つの画面をのぞきこんで楽しみやすい」という発想からビリヤードをモチーフに、「ひっぱる」操作を主体にすることに。キャラクターのモンスターや属性、必殺技など少しずつ世界観を固めていった。

 開発中から「これはいけるかもしれない」と手応えがあったという。「企画メンバーがやたらと触りたがるんですよ。もう1回、あと1回だけ……と言いながら遊び続けて『できた! 天才かもしれない!』と自慢してくる(笑)。作ってる自分たちがこれだけ楽しめているならきっとユーザーにも届くと思った」(木村さん)

 リリース当日、社員にいち早く知らせたところ、新たなユーザーを招待するペースが想定以上に速かった。じわじわと輪が広がっていく様子に「SNSが広がっていく瞬間に似ている」と感じたと木村さんは振り返る。「予想していた中でも“大勝利”の曲線」(木村さん)でユーザーを増やし、今も右肩上がりで成長を続けている。

 現在、海外では北米、台湾・香港・マカオ、韓国で各国版を配信。現地の民俗的な神様をモチーフにしたモンスターなどでローカライズし、ユーザー数拡大以上に。まずは友人と一緒に遊んでもらう習慣を付けることに力を入れる。今後、ヨーロッパや東南アジアにも広げ、海外展開はさらに攻勢をかけていく。

 モンストの好調で、ミクシィの2015年4~6月期の連結決算は売上高が500億円(前年同期比約3.9倍)、営業益は243億円(同5.2倍)と大幅な増収増益を記録。収益の大半はゲームが占めているが、木村さんは「サービス開発のコアにある思想はずっと変わっていない」と話す。

 「ミッションはぶれずに、友達と楽しめる場作り。実際、モンストの開発陣やユーザーサポートのほとんどはmixiの運用に関わっていたメンバーで、コミュニケーションをどう促進するかを考える意味では同じ」(木村さん)

●ゲームクリエイターの視点でアニメ作り

 ゲームにとどまらず、10月10日にはYouTubeでオリジナルアニメの配信をスタート。中高生をメインターゲットに、ゲームでは伝えきれないそれぞれのキャラクターの設定や舞台背景を深堀りし、モンストの世界観を広げ、伝えるのが目的だ。

 テレビではなくYouTubeを配信メディアに選んだ理由は「今の中学生が1番多く触れるのはこっちだろうと」。1話約7分程度と短めの尺で、スマートフォン上でアプリと行き来しながら見てもらうことを想定する。日本語、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語などの多言語で同時配信するのもWeb配信ならではだ。

 制作は14年秋ごろにスタートし「アニメ業界の人には『あと1年? 本気ですか?』と驚かれた」と振り返る。スタッフ間で共有していたゲームの世界観をベースにゼロから脚本を練り上げた。

 「428~封鎖された渋谷で~」「タイムトラベラーズ」などを手掛けるゲームクリエイター・イシイジロウさんをストーリー・プロジェクト構成に迎え、木村さんを含むメインの開発陣が関わる「ゲームクリエイターの視点で作ったアニメ」。ただストーリーを追いかけるだけでなく、インタラクションや謎解き要素のあるアニメに仕上がっているという。「配信の次の日に学校の教室で『あれ分かった?』という会話が生まれてほしい。ゲームを知らなくてもアニメ作品単体としても楽しんでもらえるはず」(木村さん)。

 テレビ放送と異なり、クール制でない「運営型のアニメ」なのも特徴だ。現時点で終わりは定めず、毎週土曜日に更新していく。他コンテンツとのコラボも取り入れ、“国民的IP”となるべく認知を広げる新たな軸とできればとする。

●「XFLAG」スタジオ設立 目指すは「バトルゲームNO.1ブランド」

 8月にはこれまでのエンターテインメント事業をコアとした「XFLAG」(エックスフラッグ)スタジオを設立した。メンバーは社内外約300人に上り、「みんなでわいわい遊べる」バトルコンテンツのスマホゲーム、映像作品に注力する。12月にはニンテンドー3DS版の発売が決まっており、年度内にはモンストに続く新たなタイトルを発表予定だ。

 別ブランドとして展開する理由は「ブランドカラーの違い」。「ミクシィが柔らかいスイーツのような雰囲気だとしたら、XFLAGはガッツリ男っぽく、ラーメンやカレーのようなイメージ」(木村さん)とし、「団結、挑戦、熱中」をテーマに王道少年漫画のような作品を生み出していく。

 キャッチコピーの「ケタハズレな冒険を。」はユーザーだけでなく、開発者自身にも向けた言葉。「ユーザーに飽きずに楽しんでもらうためにはまず自分たちが新しいチャレンジをし続けなくてはいけない」と、既存ユーザーの期待や要望に応えつつ、大胆な革新にも取り組む姿勢を改めて意識する。

●唯一無二のオリジナルへ

 サービス規模が拡大し、コンテンツとしての影響力や集客力も高まっている。8月2日に開催したリアルイベント「モンストフェスティバル」(千葉・幕張メッセ)には約5万人が来場したが、想定以上の人数で会場内に入れない人も多く、炎天下の行列により11人が熱中症などで救急搬送される事態に陥った。

 「会場内では多くの笑顔が見られたが、収容人数が足りず、運営上の不備で迷惑をかけてしまったことを深く反省している」と木村さんは話す。事前抽選ではないイベントは初めてで、「親子連れの多さなども鑑み、今後の開催では安全に楽しんでいただけるイベントに改善していきたい」と言う。

 オフラインのイベントにこだわるのは、ゲーム自体の思想と同じく「同じコンテンツを好きな人同士で集まる“お祭り”の楽しさを提供したいから」。普段顔を見る機会のないユーザー、関連企業ともコミュニケーションする機会として、今後も何らかの形で行っていきたいという。

 開発陣に届くファンからの手紙やイラストはメンバー全員で回覧している。ユーザーが常に目の前にいるわけではないからこそ、顔を思い浮かべながら制作する活力だ。「好きなキャラクターを教えてくれたり、一生懸命イラストを描いてくれたり……小学生から『一生やめないでください』と手紙をもらうと、そうだな、やめられないな、と思います」(木村さん)。

 「モンストが目指すのは『モンストになること』。家族や友達とわいわい楽しむ輪の中心にあるようなものを作りたいというのが開発を始めた時からずっと変わらないコンセプト。何かの真似や代わりではなく、今までなかったオリジナルとして長く愛されるよう、これからも仕掛けていきたい」(木村さん)。