梅雨の終わりを感じられるようになったこの頃。
稲がどんどん成長し、夏草も急速に伸びています。
むせ返るほど命があふれている季節ですね。

さて、今回も、今の季節を詠んだ自作の俳句をいくつか投稿します。
いつもより下手な気がしますが、しばしお付き合いくださると嬉しいです。
また、歳時記で見つけた素敵な句を鑑賞し、学びを深めていきたいと思います。
それでは、スタートです。






古き歌こぼれて軽し梅雨の雲

 



雨がしとしとと降る日に川のそばを歩いていたら、ふと『東雲節』という古い歌を思い出し、小声で口ずさんでいました。
これは飄々とした曲で、それを歌っていたら梅雨の鬱々とした気分が軽くなりました。
重くどんよりした雲も、心なしか軽くなったように見えました。


歳時記には、梅雨の句が数多く載っています。
今回特に目を引いたのは、この句です。

うすあかねして夕雲や梅雨の果
原 石鼎

梅雨末期の激しい雨が去ったのでしょうか。
雨に洗われた大気の中、薄い茜色の雲が穏やかに浮かんでいる。
その雲は、まるで、長かった梅雨の終幕を飾っているかのように思えます。
梅雨が終わったのだという安堵、一抹の名残惜しさも感じるとてもきれいな句です。





支柱なき胡瓜や風と戯るる

 



支柱の高さを越えて成長したきゅうりのツルが、風に揺られてダンスをしているかのように動いていました。


歳時記を見ていたら、こんな胡瓜の句を見つけました。

詩も川も臍も胡瓜も曲りけり
橋閒石

すごい句ですね。
川や胡瓜が曲がるのは分かりますが、詩と臍も曲がるとは。
きっと作者は、ご自分のことを卑下しすぎなのでしょう。
四つのものを並列する句なんて、なかなかないと思います。
よく並べたなぁと感心してしまいます。
私のような初心者には真似できない技法です。





一雨に今朝は青田となりにけり

 



田植えが終わってそれほど日にちが経っていなかったある日、雨が一日中降り続きました。
翌朝、ふと見ると、小さかった稲が一気に成長して青々とした田んぼになっています。
一日で植田から青田へ変わった早さに驚きました。


青田の項目を歳時記で見ていたら、こんな句に出会いました。

一点の偽りもなく青田あり
山口誓子

なんとも清々しい句ですね。
すくっと立つ稲の様子が鮮やかに浮かびます。
まさにこれが青田だ、と言い切っている勢いの良さに惹かれます。
きっと、作者自身も、この青田のようにまっすぐ澄みきった心持ちだったのではないかと思います。
そうでないと、「一点の偽りもなく」という言葉は出てこない気がします。
 




緑陰に寝たし眠たき通勤路

 



そのまんまの句です。
眠たい身体で出勤するときに見かけた木陰がとても気持ちよさそうで、一寝入りしてから仕事に行きたいと思いました。
ただ、「通勤路」という言葉を使っていいのかどうか。
その言葉が存在しないような、するような。
どうやって推敲していいか分かりませんでした。


緑陰を歳時記で調べると、こんな句が載っていました。

セールスマン緑蔭に来てメモ整理
西田美代乃

爽やかな句ですね。
まだ若い青年でしょうか。
汗を拭いつつ、顧客と会話した内容をまとめているのでしょう。
あるいは、これから向かう客先の情報を整理しているのか。
それぞれのお客さんにふさわしい内容を話し、受注につなげられるよう、熱心に動いている。
そんな姿が想像できます。
仕事に行く前に緑陰で寝たいなぁと思っている私とは大違いですね。





メッセージ来たかと見れば牛蛙

 



これは、俳句と言っていいんでしょうか?

川柳のような、ただの呟きのような……。


夜、スマホのバイブのような音が聞こえて、何かメッセージが来たのかと画面を見たのですが、何もありません。

耳を澄ますと、外で牛蛙が鳴いていることに気がつきました。

牛蛙の鳴き声は、音の低さや、音を発する間隔が、バイブとよく似ています。



そんな牛蛙の鳴き声に注目した句として有名なのは、こちらでしょう。


牛蛙ぐわぐわ鳴くよぐわぐわ

金子兜太


牛蛙の印象的な声を、強烈に写し取った句だと思います。

一度見たら忘れられない、一度聞いたら覚えてしまう、そんなインパクトがある作品です。

高校生のときに初めてこの句に出会って以来、牛蛙の声を聞くと必ずこの句を思い出します。





最近、俳句をいろいろなところへ投稿するようになりました。

もちろん、まだまだ未熟なことは十分承知していますので、勉強のつもりで参加しております。

兼題があると、その季語の本意を掴もうと真剣に取り組めるので、いいトレーニングになっています。


今のところ、何に応募しても選外になることが多いです。

やはり、俳句は一朝一夕には身につかないものですね。


ただ、夏井いつきさんの「俳句生活 ~よ句もわる句も~」では、2回投句して2回佳作をいただきました。

かなり多くの方が佳作になっているので、たぶん、俳句の形になっている人は全員佳作なのかもしれません。


何にせよ、私はまだまだ下手なので、今後も精進していきたいと思います。