赤司「婦女子?」
黒子「違います、「ふ」は腐るほうです」
赤司「なんだ、腐女子か…テツヤどうしたんだい?急に」
黒子「はい。この間の部活後、まだ僕が着替えていたんですけど、火神くんがふざけて後ろから僕にのし掛かってきたんです」
赤司「ずいぶん仲が良いね」
黒子「そこにちょうど監督が入ってきたんです」
赤司「…」
黒子「そしたら監督顔が赤くなって、凄い勢いでノートを取り出して、声にならない叫びをあげながらなにやら書き取ってました。あまり様子がおかしかったので、キャプテンに聞いてみたら、『あいつは中学二年の頃から腐女子だから』って」
赤司「ほう、それはまた発酵が進んでいるな…」
黒子「キャプテンはそれ以上教えてくれませんでした」
赤司「そうか…」
黒子「赤司くんなら腐女子が何なのか知ってますよね?」
赤司「テツヤ、ボーイズラブは知っているかい?」
黒子「ボーイズラブ?なんですかそれ?」
赤司「男同士の恋愛、またはそれを描いた作品のことだよ」
黒子「」
赤司「腐女子はそれらを好む女性のことだ」
黒子「………え、じゃあ待ってください、監督は…僕と火神くんが、そのボーイズラブだと勘違いしているってことですか?」
赤司「そうとも言えないよ、彼女達は妄想を糧としているんだ。」
黒子「?」
赤司「当人同士にそのような嗜好がなかったとしても、男が二人以上いたらそこに妄想が広がるんだよ」
黒子「…信じられません……」
赤司「そうだな、現に今こうして僕とテツヤが二人で話しているだけでも、彼女達のフィルターを通すと、僕達が恋愛関係にあると見えるんだ」
黒子「止めてください、気持ち悪いです」
赤司「今さら距離をとっても無駄だよテツヤ、WJ連載の漫画主人公である以上、腐女子からは逃げられないよ」
黒子「え…何故ですか?ジャンプは少年漫画ですよ?」
赤司「少年漫画だろうが何だろうが関係ないよ。先人たちはみな同様に腐女子の餌食になっている。ボールは友達しかり、スタンド使いしかり、飛影はそんなこと言わないしかり、海賊王しかり、忍者しかり、超人テニスしかり…彼女たちは寄ってくるんだよ」
黒子「名だたる先輩方がっ…!」
赤司「黄瀬みたいなのは、容姿がいいから、格好の餌食だろうね。彼女たちにはテツヤにアタックしているように見えるんじゃないかな」
黒子「」
赤司「まぁ腐女子と言ってもいろんなカテゴリーがあるから、一概に容姿の整った者が犠牲になるわけではないよ」
黒子「あんまり詳しくは聞きたくないんですけど、カテゴリーとは…?」
赤司「美少年同士を好む腐女子が一番多いかな。初心者でも、見目麗しければいける、といったところか。ゆるい日常系も初心者向きだな。」
黒子「う、なんですかそれは…実は女でした、みたいなハッピーエンドになってほしいです…」
赤司「フッ…いい線いっているよテツヤ」
黒子「嬉しくないです」
赤司「これらは少女マンガから流れが来ている。『少年愛』という言葉が当てはまるね。背徳、耽美の世界だ。少女漫画家の萩尾望都や竹宮恵子が有名だよ。絵が綺麗でストーリーがしっかりしているから、漫画として非常におもしろい。いわゆる「やおい」ではないから、男性にもオススメできるね」
黒子「語りますね…」
赤司「さっき、実は女でした展開がいいと言っていたが、日本には平安時代に成立した『とりかへばや物語』というものがあるんだ」
黒子「とりかえばや…」
赤司「すごく簡単に説明すると、兄弟がそれぞれ男装、女装をして、恋愛をする話なんだけど、日本人は昔から進んだ考えがあるね。明治になり、西洋文化が入るまでは男色も当たり前、銭湯は混浴と、性に奔放だった」
黒子「それは知りませんでした…」
赤司「おっと、話が逸れたね。他のカテゴリーは」
黒子「え、まだ続くんですか…」
赤司「テツヤ、この僕に質問したのは誰だい?」
黒子「すみません、どうぞ」
赤司「上級者向けになってくると、ガテン系なんかが出てくるね」
黒子「ガテン系?」
赤司「工事現場で働いていそうな筋骨隆々な男性同士のジャンルだよ」
黒子「うわぁ…」
赤司「現実のゲイの人にはガテン系が人気だよ」
黒子「」
赤司「ほかにもショタコンや、色んなカテゴリーがあるけれど、まぁ今回は割愛しよう」
黒子「…」
赤司「このように、容姿が整っている者だけが腐女子のターゲットになるわけではない。可能性は誰にでもある」
黒子「どういうことですか?」
赤司「テツヤは秀徳のPGは知っているね」
黒子「え?……あー、あっ、はい!…高尾君、ですよね」
赤司「秀徳には緑間がいるし、容姿端麗な緑間と比べると、彼は目立つ容姿ではない、僕もこの前、彼の顔が思い出せずに、『高尾和成』で画像検索して大変な目に遭ったよ…」
黒子「大変な目?」
赤司「その件については後程話そう…」
赤司「彼は所謂モブ顔で目立たないが、緑間の相棒として常に一緒に行動しているから、腐女子の人気が高いんだ」
黒子「さっきの「一緒にいるだけで」ってやつですね?」
赤司「加えて彼の、緑間に対しての態度や『真ちゃん』呼び、『ツンデレ』発言などは腐女子の妄想を煽っている」
黒子「…あー」
赤司「他に性格なども影響しているが、当人同士の仲が良ければ自然と腐女子人気は上がるよ」
黒子「なるほど…」
赤司「まぁ、仲が良くなくても、冷たく接していても彼女達は言葉や行動の節々から『片思い』『三角関係』『修羅場』などと、妄想を広げていく生き物だから、関係ないけどね」
黒子「腐女子…すごいですね…」
赤司「そうだな、ホモを求め走り続けるあのパワーは尊敬に値する…」
黒子「…あの、赤司くんは妙に腐女子に詳しいですね」
赤司「あぁ、ボーイズラブは今のところ苦手な部類に入るかな、しかし、ホモネタは嫌いではないよ」
黒子「…えっと、ホモネタとは?」
赤司「ホモネタはホモであることを一種の笑いに変換することだ。あくまで「ネタ」として一貫されていれば、自分には無関係である分、なかなか面白いよ。」
黒子「自分には無関係なら…、まぁ。むしろ当人に見せて反応を見たいですけど」
赤司「僕は2chのSSをまとめたサイトに日参しているんだが、中でもハリー・ポッターシリーズのSSが好きだな。登場人物の特徴をよく捉えている作者が多い。」
赤司「それから『名探偵コナン』も大好きだよ。マジキチ率が高いからね」
赤司「最近では『黒子のバスケ』のSSも増えて、毎日楽しみにしているよ」
黒子「はぁ…、(赤司くんってこんなキャラでしたっけ…)」
赤司「また話が逸れたね。ホモネタは好きだが、やはりボーイズラブの要素はまだ耐性がなくてね、僕みたいな人は多いんじゃないかな」
黒子「そうですね。話を聞いていたら、ホモネタならまだいけるかもしれない気がしま…いや、やっぱりまだ分からないです。」
赤司「先程の話の続きだけど、前に秀徳のPGを調べようとしてネットで『高尾和成』と画像検索したら画面いっぱいに真太郎との…アレな絵が表示されてね…」
黒子「うわぁ…」
赤司「あのときは驚いたよ…もう彼の顔は忘れないし、安易に画像検索なんてしないよ」
黒子「うわぁ…」
赤司「正直、秀徳戦のときはあの二人を見ると思い出してしまって…」
黒子「やめてください、もう僕あの二人はそうとしか見れなくなってしまいます…」
赤司「…」
黒子「………」
赤司「ある大学教授は言った『女性は皆、潜在意識の中に腐女子の自分が隠れている』と」
黒子「え、本当ですかそれ…」
赤司「ボーイズラブを嫌悪している女性の中では後天的に目覚めてしまうこともある」
黒子「目覚める…(ゴクリ」
赤司「はじめはキャラクターに恋をしていたはずが、キャラクターへの愛がいつしか形を変えていく…そして、ずるずるとボーイズラブの世界にのめり込んでいく…」
黒子「もう、怖いです…」
赤司「しかし、漫画が好き、アニメが好き、声優が好きな女性が腐女子と決めつけてはいけない」
黒子「そうなんですか?かなりの確率なんじゃ…?」
赤司「そうとも言えないよ、テツヤ。彼女たちは初対面の人の前では腐女子であることを隠す。時間をかけて探り合い、お互いに納得がいったとき、腐女子の友情は確立される」
黒子「あれですか、はじめて一緒にカラオケに行くときに、オタクであることを知られていいものかと有名なアーティストのアニメタイアップ曲から様子を見るような…」
赤司「そこでアニメ映像が流れてしまったらかなり気まずいだろうね。最近のカラオケでは選曲時にアニメ映像と表記してあったり、通常映像と切り替えができるようになっているから、そんな凡ミスは許されないよ。」
赤司「女性だけが集まる場所なんかは特に腐女子が多いと聞くよ。見た目は普通、むしろ美しい女性でも、中身は…というパターンも多い。ただ、全 て の オ タ ク 女 性 が 腐 女 子 と い う わ け で は な いことを忘れるな。」
黒子「そうなったら日本の未来が危なすぎます…少子化は進む一方です…」
赤司「いや、腐女子だからといって、男同士の恋愛でなければいけないということはない。彼女たちの中には普通の恋愛したいという願望もある。恋人がいる腐女子も存在する。」親子二代で腐女子、なんて事例も今時珍しくない」
黒子「…」
赤司「…ボーイズラブを楽しむのは個人の自由だ。大半の腐女子達は隠れてこっそり、ひっそりと楽しんでいるし、自分達の領域から出なければ一般人には迷惑はかからないからね」
黒子「そうですね…」
赤司「一部の人はマナーをもう一度見直して貰いたい。ネットは色んな人が情報を共有する場だからね。内輪でおもしろくても、それを苦手としている人や、不快に思う人がいるかもしれないことを思い出してほしい」
黒子「…赤司くん、勉強になりました」
赤司「それはよかった。そうだ、テツヤ…」
黒子「はい?」
赤司「このあと…空いてるかい?」
黒子「え」
赤司「もっと深く教えてあげよう」
黒子「!!!!!」
赤司「Welcome to Underground…」
黒子「アッーーーーーーーーーー!!!!!」
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