「ちょっっ…ナニコレッッッ!?」

白い髪の毛が寝癖で酷い事になっている男の情けないくらいにすっとんきょうな声が響く。
昨夜から一晩中酒を酌み交わしていた俺達は、どうやらそのまま寝てしまったらしい。
そう、全身殆ど素っ裸の格好で、だ。
「…何だろうねぇ?」隣で寝こけていた派手な金髪の優男が寝惚けた声で要領を得ない返答を返す。
はた迷惑な白髪馬鹿のすっとんきょうな声に起こされたらしい。
「なッ…ナニって?バッ、馬鹿言ってんじゃねぇって!嘘だよォ?きっと何かの間違いだって?俺ァ、んな趣味ないからね?ど真ん中サラサラストレートヘアみたいな純粋な天然ノーマルだからね~。」
相変わらずトンチキな事を捲し立てるような勢いで喋り続ける男に、馬鹿はお前だ、と、心の中で毒づいてみる。昨晩のドンチャン騒ぎでしこたま呑んだ酒のせいか、頭の芯が妙に重い。
そこへもってきて白髪馬鹿がわあわあ騒いで居やがるもんだから脳ミソを鷲掴みされて、ぐいと捻られているような感覚に不快さを隠せずにいた。

もうちょい寝かせてくれ…300円あげるから。

「何でこんな事になってんのォ?俺何かした?ヤっちまったかァ~?酒の勢いだからッて幾らなんでもそりゃァ…ない…ないよ…ないからね?ね?ねぇ~ッ?そうだと言ってェ!」
「ん~…。俺もいまいち思い出せないね…。酒を酌み交わして、キミが葉っぱ一枚で踊りだしたまでは覚えているんだけど、ね。ごめん、分かんないや。」相変わらずのんびりとした様子で慌てるふうでもなく、冷静にその時の状況の一部を語る優男はゆったり笑う。
隣の優男に何もなかったと言ってくれと必死にすがる奴の姿と対照的にのんびり構えるコイツのやり取りが妙に可笑しくて、俺は内心吹き出した。
心地よい眠りから叩き起こされたんだ、もう少しこの阿呆な状況を楽しんだってバチは当たらない。
俺はもう少しだけ狸寝入りを決め込む事にした。

「こんな時にこそ、牛乳に相談だッ!!!ねぇ?牛乳ないッ?」
コレは名案だとばかりに白髪頭はガバリと立ち上がる。
「ん~あるよ。ちょっと待ってて。」
そう言うと豪華絢爛なベッドの上、天井からぶら下がるコレまた豪華な紐を引くと呼び鈴が鳴る。すると部屋の外、出入り口に控えていたのであろう従者が素早く優男の元にやってくる。
「いつものミルクにショコラ2つと朝食適当に。」
従者は恭しく返事をすると、深々と頭を下げながら退出した。
よろしく~なんてフ