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声のお仕事

子どもの頃、憧れていた職業は、科学者、博物学者、漫画家でした。科学者は鉄腕アトム、博物学者はドリトル先生、漫画家は手塚治虫さんに影響されていたので、まあ、どこにでもいる平凡な子供であったと言えましょう。

長じて、メーカに入って、電子技術者になったのですから、比較的科学者に近いお仕事をしてきたと言えなくもありません。

さて、タイトル。

「声のお仕事」(川端裕人)




なかなか売れない薹が立ちつつある若手男性声優が主人公の小説。
もっとブラックな世界を描いているのかと思っていたのですが、案外、ハッピーエンドな爽やか系青春小説でした。

高校時代、屋上で発声練習していた演劇部員達がいたことを思い出しました。
「あーえーいーおーうーおーあーえーいー」

この本では、滑舌の練習に以下の言葉が出てきます。

「がらぴい、がらぴい風車(かざぐるま)。おきゃがれこぼし、おきゃがれ小坊師、ゆんべもこぼして又こぼした。」

早口言葉や外郎売りの口上なども。
どの世界でも大切なのは基礎の練習と運をつかむ勇気。
オーディションを受けて、採用されても、次があるとは限らない。厳しい世界です。

*************
「小説の神様」(相沢沙呼)




中学生で文壇デビューした高校生作家の苦闘を描いた作品。 この設定自体、無理があると思いますが、それは置いておきましょう。

アイデアが出てこない主人公と文章が書けなくなってしまったヒロインが共作を通じて、小説とは何か、何故小説を書くのか、売れるとはどういうことなのかを問いかけつつ、嬉しいことや苦しいことを経験して少しずつ前に進んでいきます。

ネットで酷評されて深く傷ついた主人公にヒロインの言葉が突き刺さります。

「逃げないで。汚い言葉を使って、作品や作者を貶めて嗤うような、そんな感性を持った人たちに向けて、小説を書いているわけじゃないでしょう?」

へたれた少年主人公の前に、美少女が現れて、最後は彼女の苦境を救う物語でもあります。わざと典型的な構図を作っています。出版界の事情を描く一方で、小説家の悩みや不平不満を、小説の中で、愚痴り、吐き出し、皮肉る作者の意図が良く見えます。

まあ、面白くてすらすら読めました。

*************
「プラハの憂鬱」(佐藤優)




著者は日本のラスプーチンと呼ばれた元外交官。
あまり彼のことは知らずにタイトルに惹かれて読んだ自伝のような本。

著者がどうして神学を志し、東欧のキリスト教に興味を持ち、大学卒業後はノンキャリア採用で外務省に入り、英国でロシアについて学ぶようになったのかが導入部。
当時、禁書とされたチェコの本をロンドンで売るお店の常連となり、そこで出会って親しくなった亡命チェコ人のスデニェク・マストニーク氏との会話が延々と続きます。

以下、亀山郁夫氏の書評より抜粋。

***
「チェコ人は現実主義者です。……構想力に限界がある民族です。それだから、常に妥協を模索する」
ロシアとドイツという二つの巨大な力に囲繞され、翻弄されてきたチェコスロバキアの存在自体が、佐藤の根源に息づくペシミズムを深く刺激する。彼の関心はやがて、当然のように、英国と海峡を隔てた北アイルランドの問題へと、そこに住む人々の「過剰同化」へ向けられていく。
***

久しぶりに脳みその回転を強いられた文章でした。

読書感想文

今更なのですが、凄く久しぶりのブログアップです。

以下、読み慣れた作家の作品の感想文です。

「朧月市役所妖怪課 妖怪どもが夢のあと」(青柳碧人)
 3連作の最終巻。作者は「浜村渚」シリーズの青柳碧人さん。
 作者の目線は、素直であり、基本的には常に明るい結末。
 元々、塾の先生だった所為か嚙んで含めるような文体は読み易いけれど、時には退屈。
 日本古来の妖怪を封印して、管理している朧月市に自治体アシスタントして赴任した宵原秀也が奮闘するお話しなのですが、ちょっと盛り上がりに欠 けます。でもまあ、恋にときめく場面もあったりして、そこはそれなりの完成度があり、楽しめました。買うほどではないと思ったので、図書館で借りました。




「オークブリッジ邸の笑わない貴婦人2: 後輩メイドと窓下のお嬢様」(太田紫織)
 1作目が気に入ったので、2作目が出た瞬間に買ってしまいました。登場人物の性格付けが安定していて、話の運びがとても分かり易くなり、深みが出てきました。
 太田さんの作風は、内向的、自虐的な主人公が周りに影響を与えつつ、少しずつ、成長していくことでしょうか。他の作品と共通する台詞が良く出てきます。
 『きっと私/僕は、この言葉が欲しかったのだ』
 人の気持ちにより添う・・・私は気持ち悪いと思います。寄ってこなくて良い。適度に干渉せずに距離を置くのが心地よいと考えています。オークブリッジ邸の奥様の心情に共感を覚えます。






「家庭用事件」(似鳥鶏)
 似鳥鶏さんの初期作品である「にわか探偵」シリーズの最新刊。
 舞台は、いつもの市立千葉高校。(何となく、県立千葉高校校舎の雰囲気も描写されているように感じますが・・・)
 今回は、主人公の葉山くんの妹が何度も登場します。
 そして、最近、似鳥さんが良く使う読者を騙すトリックがここでも。
 映像化したら使えない手法です。
 すっかりしてやられました。
 謎が明らかになって、前の方のページをめくって、矛盾がないかどうか確認してしまいました。
 勿論、矛盾がないように仕組まれていました。
 こうして、また、作者の虜になっていくんだよなあ。




さようなら2015年

ブログへの投稿がどんどん減ってきていますが、単純に書くほどのネタも無く、かつ面倒くさいだけの理由です。

2015年を振り返ると、やはり次男の受験が一番の出来事でした。
無事に第一志望の大学に入り、一時期、期待とは違ったと落ち込んでいたこともありましたが、すっかり復活し、今では学生生活を謳歌しています。
先日、試験を終えて、何と1~3月はお休み。
授業料が勿体ないと考えてしまうのは私の感覚が古いのか・・・。

さて、前回はシュトーレンを作ったことを書きました。
すぐに無くなってしまったので、クリスマス前にもう一度挑戦。

今度は、焼く1週間前にドライフルーツ(ベリーとぶどうのミックス)をコニャックに漬け込みました。
更に、ライ麦粉を追加して風味を追求。
バターも増量。

粉砂糖が良い感じに溶けています。







今度はクリスマスまで熟成させながら、じっくり食べることが出来ました。
コニャックの香りも強く、濃厚な味が日を追うごとに滑らかに。
我ながら、良く出来たと思います。

また作ろう。

一昨日、麻布十番にある日進デリカテッセンに行ってみました。
友人に教えて貰ったお店で、前から興味があり、漸く行く気になったものです。




生鮮食品、肉類、ハム・ソーセージ、チーズ、お菓子類、ワインなど輸入品が沢山。
やはり外国のお客さんが多かったように感じました。
お目当てのトルコのチーズHellimも買えました。

麻布十番から築地に向かうために日比谷線の神谷町までお散歩。
路地を抜けたところで、突然目の前に東京タワー。




良く晴れた空に赤いタワーが綺麗に映えました。
ちょっと電線が邪魔でしたが。

夕方5時前に築地に到着。市場付近のお店は閉店の真っ最中でした。
そのまま、ツマと待ち合わせたイタリアンレストランへ。

最後のパスタはたっぷりのトリュフ。
目の前で塊を削って貰い、その香りに感激しました。




*****

その感激が醒めやらぬ中での昨日は近所のスーパーに買い出し。
真鯛、芽キャベツが安かったので、蜊・マッシュルーム・トマト・玉葱・ニンニクと合わせて、簡単なアクアパッツァを作ってみました。
なかなかなお味でした。





*****

明日は元旦。
いつものように大晦日の今日は朝からお節料理作り。
でも、一時期よりずっと種類も量も減らしています。

都内で一人暮らしの長男は顔を出すかどうか判らないし、大学生の次男はバイトで忙しいし、我々夫婦もそんなに量は食べられなくなっているので、煮物、数の子、酢蓮根を準備した程度です。
あとはツマが担当の黒豆。丹波の「とびきり」を使いました。





明日の朝は雑煮を作ります。

こうして書き出してみると、本当に平凡な日常です。
でも、そんな日常がとても愛おしく感じます。

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