木暮荘物語/ 著:三浦しをん
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読み終わっていろいろ考えてしまう。

自分のこれまでの生活に重なることがあるからかもしれない。
共感ということではない、登場人物それぞれの思いに苦しくなり、これまでの自分を振り返る。

物語は、木造二階建てアパートの住人たち、その周りのひとたちの日常についてだ。
それぞれが、人にはなかなか相談できない悩みを抱えている。
人目には、そんなことは全く分からないのに。
悩みがない人などいないのだ。


現実世界でも人付き合いとはそういうものではないかと思う。自分が本当に悩んで、苦しく辛いこと、それはなかなか他人には打ち明けにくい。
心しれた人であればなおさら、という気がする。

わたしだけであろうか。

簡単な悩みや愚痴は、適当に笑いを織り交ぜながら話すことができる。

でも、そんなものは根底にある本当の悩みを発散させられない代わりのウソのようなものだ。
本当に話したいことは結局誰にも打ち明けられない。
何とか自分の中で折り合いをつけていくしかない。

結局世界はひとりだ。
困難には自分で立ち向かい、切り開いて行くしかない。

まったく損な性格だ。そんな自分の悪いところを改めて考えさせられる。


物語のあと、彼らはどんなふうに進んでいったのか。
その先をもっと見たいと思ってしまう。前に進む為に、少しずつ自分が変わっていかなければいけない。変化を受け入れていかなければいけない。

少しずつ歩みだした彼らから勇気をもらえる。わたしにとって本書はそんな一冊だ。


木暮荘物語 (祥伝社文庫)/祥伝社

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