(C) 2007 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」製作委員会
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07・日本 112分)
★★★★
監督・脚本 吉田大八
出演 佐藤江梨子 佐津川愛美 永瀬正敏 永作博美
7月14日(土)公開
「腑抜け」・・・・はらわたを抜き取られたかのように、意気地のないこと。まぬけ。こしぬけ。
まぬけ!?
とは、なかなか厳しいお言葉です(;´▽`A``
でも、この作品のサトエリにピッタリな言葉(笑)
なぜかは見てのお楽しみ
ここまで、ちゃんと”オチる”映画もめずらしい
サトエリをガツンと”オトシタ”佐津川愛美の「あの時」の演技すばらしかったね!
ほんまオモロイ。激おすすめ!
かなり手ごたえの感じられる作品ですよ
もしかしたら、07年ベスト5に入るかも。(邦画の中で)
原作がいいのか?
監督がいいのか?
キャストがいいのか?
答えは
全部イケてる!!!
「赤い文化住宅の初子」「キサラギ」と共に押せ押せでいきたいと思います。
あっ、今年のベスト3決まっちゃった
カモ?
STORY
両親の訃報を機に、女優を目指して上京していた澄伽(佐藤江梨子)が4年ぶりに田舎に帰ってきた。澄伽を出迎えたのは、兄の宍道(永瀬正敏)、兄嫁の待子(永作博美)、妹の清深(佐津川愛美)。だが、自意識過剰で傲慢な澄伽を前にした3人の反応はどことなくぎこちない。とりわけ、清深は姉の存在に激しく怯えていた。 実は遡ること4年前。女優になるための上京を両親に反対された澄伽は、自力で上京資金を稼ぐため同級生相手に売春をしていたのだった。その姉の行動を見ていた清深は、姉の痴態を漫画に描き、ある雑誌に投稿してしまう。快心の出来だったその漫画は、清深の予想を上回り新人賞を受賞。雑誌に掲載されてしまう。瞬く間に、好機の目にさらされだした澄伽は、逃げるように東京へ。そして、未だに妹のとった行動を許そうとせず、「演技に集中できないのはお前のせいだ」と激しく罵り、執拗ないじめを繰り返していたのだった。そんなある日、この泥沼の状況にひと筋の光が差してくる。しかし・・・!
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鑑賞前、不安要素だったサトエリの演技。しかも主演。
「口裂け女」で演技力のなさを実証していただけに、心配だったのですが
今回サトエリの役は
女優の才能のない女優役
だったので、逆にその大根ぶりがはまっててGOOD!!!でした
素質ゼロにもかかわらず「私は女優よ」と威張り散らし、
兄に過度な仕送りを要求、でもスタイルだけは抜群にいい澄伽役に、サトエリをチョイスした監督のセンスの良さが光りますね。
あとのキャストは芸達者な人ばかりで安心して見れます。
監督いわく打率の良い選手たち(笑)
無骨でいて嫁には厳しいが、ある理由から澄伽には絶対逆らえない兄の宍道には永瀬正敏。
漫画の才能はピカイチ。けど、ネクラ。
この清深、姉にいたぶられ続けて一見可哀想なのですが、ラストで大どんでん返しを決める。案外、澄伽よりしたたかな娘なのです。
そして、バカのつくお人よしの兄嫁に永作博美。
この人は、すごい!正統派からキレた役まで幅の広い女優さんだが、ここまで、できるのかと感心してしまう。
面白いなこの人

とまぁ、ものすごく濃い内容なのに、舞台がドドド田舎というのもギャップがあってしばらしい。
ストレスを発散する場所がないから、余計にネチネチしているというか、

崩壊していく家族の姿がなんとも滑稽でおかしい。
カンヌに選ばれたのも納得の出来栄え

しかし、カンヌでは公式上映後にどんな評価をいただいたのでしょうねぇ。
今年は、
北野武や
松本人志の話題が先行していたので、
吉田監督の評価についてあまり報道されなかったのは残念でした

まぁ、河瀬監督のような「カンヌ向き」の作品ではないので、しょうがないのかな。
そうそう!
この吉田監督、実はあの”ソフレ”のCMを作った方なんですよ!!
田中律子が憎たらしい女の子と肌のピチピチ度をきそい合うあのCMです

おぼえていらっしゃる方も多いのでは?
私あのCM大好きなんですよ。すごく鮮明に覚えてます。
あの時の、ブラックユーモアのセンスがこの作品で発揮されてるな~と感動いたしました

と、ここまでたくさん書きましたが、やっぱりこの作品で一番すごいのは
この話を20歳の時に戯曲としてしあげた原作者の本谷有希子さんです!!!
20歳!!?
ビックリだす。
今年28歳の彼女は、劇団の演出家であり作家でもある注目人物です

いやしかし、今の日本の
女性作家の才能とパワーは圧巻ですな。
もう作家&監督バージョンのツバキのCM作るべきですよ。(シャンプー)
日本の女性はうつくしい・・・ってね