『グアンタナモ、僕達の見た真実』 | 夢中毒のすべて

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『グアンタナモ、僕達が見た真実』(06・イギリス/96分)

★★★☆

監督 マイケル・ウィンターボトム、マット・ホワイトクロス

出演 アシフ・イクバル ローヘル・アフマド シャフィク・レスル

3月3日(土)公開 関西はナビオTOHOプレックス TOHOシネマズ二条 三宮シネフェニックス


考えさせられる映画というよりも、タイトルにあるように、その”真実”に驚きと怒りを隠せません。

アメリカは何をやっとるんだ???!?

自由の女神が泣いとるぞ?




パキスタン系イギリス人アシフは、結婚式を挙げるためイギリスからパキスタンへ向かった。その後を追って友人のローヘルシャフィクムニールがパキスタンに合流。そこで、彼らは米軍の侵攻による隣国アフガニスタンの悲惨な状況を耳にする。4人はその状況をこの目で確かめたいと、国境を越えアフガニスタンへ足を踏み入れた。すると間もなく、彼らは国際テロリストとしてアメリカ軍に拘束され、そして、キューバにあるグアンタナモ米軍基地に送られてしまう・・・。


この無実の若者達は、アメリカ軍の根拠のない決めつけで、それから2年半に渡り、過酷な収容所生活を強いられたというのだ。

これが、最近起こった実話というだから驚きである。映画の中では、「お前はテロリストだろ」「ビンラディンの居場所を吐け」という、尋問が繰り返され、野外のまるで檻のような格子の中で口も利けず、動くことも許されず、時には暴力を振るわれる。そんな毎日が描かれる。ただ、イギリスから結婚式に来ただけの青年なのに。

そして、これは拘束された少年いわく100%事実の描写であると。ただ、もっと酷いことがあったそうだ。その一つに挙げられるのが性的虐待だ。




この映画には、起こったこと全てをリアルに伝えなければという使命が窺える。まるで、ドキュメンタリーのように心に深く訴える何かがあるのだ。ただただ、酷いことを繰り返し見せる映画ではない。

過酷な状況でも、彼らは自分をそして友だちを信じた。これは、大きな救いとなったことだろう。

「友だちはテロリストであることを認めたぞ」

こんな落とし穴にも強い友情の絆で乗り越え成長した彼らは、このことを後にこう語っている。


想像もつかない状況に巻き込まれて、追い詰められた時、人は潰れてしまうか、強くなるかだと思う。僕は強くなった―。


グアンタナモ基地には今でもテロリスト容疑者500人が収容されている。


マイケル・ウィンターボトム監督いわく

目を覆うばかりの残酷な現実と、その被害に遭いながらも生き抜く彼らの姿を対比して見る事で、ブッシュやブレアの主張がどんなにごまかしに満ちたものか、どんなに人を惑わす危険な物であるかが分かるだろう。