― 午前4時半の霜月は闇の中
降りしきる雪の中、ひとり
ひとり、降り積もった雪をのける。
のけた傍から積もる雪を
積もった傍からのけては積もる、その繰り返し。
果てに 疲れ果て、佇むと
深く息を吐きだし、頭上を仰ぐ
深淵の真っ暗闇に
吸い込まれてゆくのが映る
そして 思う
いま、この時、この場所が―
― 午後5時半の弥生は橙に包まれて
ジョギングで、ひとり
ひとり、イヤフォンを掛けながら駆ける。
切れた息で 喉が痛くなったところで歩き出す。
ついで鼓膜も痛いけど 、掛けてるものは外さずに
通り過ぎてく家々の その中の一軒の
玄関にロープで繋がれた黒ヤギが一匹
足を止めて 何故だろう?
見つめ合うこと、暫し
耳に流れ込んでくる System of A Down
そして 思う
いま、この時、この場所が―
そう、あの瞬間―
あの時の あの場所が
“世界の果て”
きっと、
そういう事なんだと思う― きっと