心の動き

心の動き

ALSを発症してから現在まで、日々の生活や仕事そして趣味と織り交ぜる形式で心の動きを文章に綴って来ました。それらを加筆修正してアメブロで公開していきます。読み物として不特定多数の方々の評価を受けたいと思い、アメブロ開設に至りました。

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古くからの友人である渡辺君が渡辺先生となってユーチューブデビューすることになった。全力で応援したいのでリンクを貼っておく。
https://www.youtube.com/watch?v=IPLVlfnwd7I

 

 


渡辺君は数学科出身である。しかし、それは渡辺君の一面に過ぎない。彼がツイッターで公開しているプロフィールを引用すると、

信託銀行→予備校→セミリタイア@四国。ラジオパーソナリティ(調布FM83.8毎週火曜日19時より「合格総研」放送中)。修士(理学/国際関係学/経済学/教育学)宅建士/FP。合気道/ダイビング/ドラム。

のように多才で多様な側面を併せ持つ人物なのだ。

半年ほど前に彼に
「教育系ユーチューバーの需要はまだまだありそうだからやってみたら。予備校で教えた経験のある渡辺君なら成功間違いなしだよ。何より、渡辺君の話は面白いもん」と焚き付けてはいたが、
「著書の校正が終わってから」という返事で、今回、ようやく一本目の動画が仕上がったという経緯がある。今後、彼が動画の本数を重ねていって教育コンテンツとしての外郭が築かれ名声を博するまでの成長物語が今から楽しみである。

彼の人柄と授業の面白さが何百万という人々に伝わるといいなあ。

今週水曜日の午後10時にNHK総合で放送予定の「クローズアップ現代+」にチョイ役で出演予定である。インタビューは大村の実家で三回に分けて撮影された。その時の制作現場に立ち会って、映像を作る者たちの熱意と誠意に触れたことで、普段何気なく見ているテレビ番組を見る目が変わった。10分の映像の背後にはその何十倍もの時間の撮影とスタッフの労力が潜んでいるのだ。それが報われるのは多くの人の目にとまることに他ならないと思うので以下を告知しておく。

https://www.nhk.or.jp/gendai/schedule/

オンライン指導の入塾希望生が増えるといいなあ。

 

https://www.hirasakajuku.com/index.html

 

 

ほんの一年前まで寝台から車椅子への移乗は独力で可能だったのです。今となっては夢物語ですが、一年前に書いた文章はそのことを物語ると共に活力にみなぎっている様子が伝わってきます。

以下は

https://www.hirasakajuku.com/cont10/main.html

においてあるものを加筆修正しています。

 

 

真夜中、それは一日の中で最も俺の脳内が活発になる時間帯でもある。

エアコンのタイマーが切れる。
無風状態で室内温度が上昇し、寝苦しさと共に息苦しさで目が覚める。
傍らの妻は熟睡しており、日中の働きすぎぶりを慮ると起こそうという気はとても起こらない。
エアコンのリモコンの所在は妻のみが知っている。
仮に枕元にあっても手に取って電源を押すのは容易な作業ではない。
「ぐあーっ」と呻いて見るが、「スー、スー」と言う安らかな寝息が聞こえるのみだ。
目がさえてくると暑さが増幅する。
冷気から体を守るタオルケットが鬱陶しく感じられる。
しかし、背中と敷布団との間に挟まれ、足で蹴っても広がらない。
ちなみに足はある程度動くが腕には力が入らない。
こんな時、頼りになるのは足の力を利用した寝返りである。
左右の寝返りを繰り返し、体に巻き付いたタオルケットを解くのだ。
足元に追いやったタオルケットに渾身の一撃を加えて分離するのは快感の一言である。
寝台横の車椅子に両足を乗せると幾分涼しくなる。
このまま熱帯夜をやり過ごそうと思った瞬間、この夜最大の難局を迎える。

尿意をもよおしたのだ。
この程度の尿意なら夜明けまで我慢できるかも、そう思えば思うほど覚醒して、尿意も危険水域に近づいてきた。
外はまだ真っ暗だ。
その時、トキオが唄う中島みゆきの楽曲が脳内にこだました。
自分の運命は自分で切り開くべし、そう意を決した俺は両足を電動車椅子の下部に引っ掛けた。
この3週間、寝台から車椅子への移乗は妻の補助の下で行われてきた。
深夜に独力で移乗を行い、便所の扉を開け、便器に移乗し、用を足し、それまでの手順の逆戻りで寝台に帰還する、というのは今の俺にとっては月面旅行級の大冒険なのである。
衰えた腹背筋と腕力であっても、その力を合わせれば寝台の上に座ることができる。
問題は車椅子への移乗である。
上がらない右手を左腕で運び、車椅子の骨組みに指を絡ませる。
左手で右手を包み、足を肩幅に開き、やや前かがみになる。
全身に力を込め、立ち上がろうとする直前、右足に痙攣が走り止まらなくなった。
「焦るな。俺はトイレに行きたいだけなんだ」という孤独のウリネ状態になるも、深呼吸を繰り返して平静を取り戻すことが出来た。
苦笑いを繰り返し、脂汗がシャツに滲んでも誰も見る者はいない。
俺に必要なのは前のめりになって倒れることを恐れないひとかけらの勇気だった。
後ろを振り向くと妻と三男が寝息を立てている。
もう気分は地球を救うために宇宙船に乗り込むブルースウィルスである。
俺は唇を噛み、再びロケット発射のカウントダウンを始めた。
その三秒後、俺の頭は中空に浮かび、ふくらはぎは寝台に接している。
しかし、両踵は宙に浮いたままで安定航行には程遠い。
足の向きを微妙に変えて左手が寝台の金具に届くような体勢を作った。
車椅子を掴んでいる右手を外し、寝台に取り付けられた補助器具を掴み、体を反転させて、尻餅を付くようにコックピットである車椅子に着座した。

宇宙船は暗闇を航行した後、月面着陸に成功し、放水実験終了後、宇宙船とのランデブーにも成功し、地球への帰還を果たすのだった。

そこで待っていたのは、妻子の笑顔ならぬ、妻の小言だった。
「何で起こさないのよ。転んだらどうすんのよ」
一体、俺は何のために決死の使命を果たそうとしたのだろうか?

いつの時代もヒーローは報われないものなのだ。

2018年12月、ALSへの新薬のニュースが報じられました。その薬はパーキンソン病患者に投与される既存のもので、iPS細胞絡みの理論的根拠があるという触れ込みで、その当時の私もきたいしていました。その薬の名称はロビニロール硝酸塩で、通称はレキップです。

 

以下は

https://www.hirasakajuku.com/cont1/main.html

においてあるものを加筆修正しています。

 

ロビニロール塩酸塩の服用を止めて丸一週間になる。

毎日、十分な睡眠時間を取っているので体調は良い。ただ動作が鈍くなった。手摺を握った状態でも足の向きを変えるときには緊張が走るほどである。椅子から立ち上がる時も爪先と脹脛の揺れに危うさを感じるようになった。

一週間前の眠気や気怠さの副作用は運転することが不可欠な今の生活とは相容れないような気がする。しかし、薬を飲まずにいても徐々に病状が進行するだけのような気がする。

もしかして薬を飲み続ければ体が慣れてきて来るのかもしれない。
その結果、もしかしたら進行が止まるかもしれない。
飲むべきか、飲まざるべきか、二者択一で人生が変わる重要な場面である。


昨日、自宅のアパートのエレベーターに入ると段ボール箱等の荷物が積まれており、2階から1階まで降りるまでの時間に4輪車の方向を変えることが出来なかった。扉が開くと、新たな段ボール箱がエレベーターの前に積まれていた、焦った俺は後方に後ずさりする。が否や、エレベーターと一階の境界に足が掛かり、後方に倒れた。フード付きの外套を着ていたので頭を打つことはなかったが臀部を強打した。

今日、長女が唐突に
「お父さんの病気が治ったら、一番したいことは何?」と聞いてきた。
「そうだな、お前と一緒に散歩することかな」と答えると、
「ええ、やだよ。面倒くさい」と言われた。

昨日よりも大きな痛手を負った一日だった。