たまには、日本社会に対して気になっていることを書いていきたいと思います。今回は二つ。
①日本の働き方と会社のあり方について
日本の企業って、新卒→総合職採用というルートが一般的だと思います。
これはアメリカ人の友達と話して改めて実感したことなのですが、このあり方が引き金となって生まれている問題って、結構あるんじゃないかと思います。
まずこれはよく言われることですが、例えばアメリカでは、仕事の採用はほとんど専門職です。マーケティングのポストが必要になれば、マーケティングのスペシャリストを採用する。エンジニアが欲しい場合も、デザイナーが欲しい場合も同様。
一方日本では、ジェネラリストとして総合職での採用をするからこそ、一人一人の仕事の範囲が明確でなく、それが長時間労働につながってしまっているという問題があるとされています。
”Now I understand why you guys work that long.”
これをそのアメリカ人の友達に話したところ、彼は目を丸くして納得していました。
そして彼は、こう質問をしてきました。
「じゃあ大学で学んだ専門性はどうなるの?無駄になっちゃうわけ??っていうかそのシステムだと、日本人にとって大学ってどうなるの?」
「理系の場合はまた話は違うと思うけど、大学で学ぶ内容と会社に入ってする仕事内容は関係がないことって結構多いよ。なぜなら会社が人を育てる、っていう風潮が良くも悪くも強いから。だから日本の大学生は、単位だけ要領よくとって、授業はあんまり聞かないとか、内職するとか、寝てるとか、結構ある。もちろん全員が全員そういうわけじゃないけど、かくいう私も、こんなに強く自分の頭に何かを残そうって思えたのは、留学に来てからが初めてだった。大学で何を学んだ、っていうよりも、どこの大学を出た、っていう方が重要な社会ってよく言われるけど、それにはこの背景があるの。」
彼はしばらく言葉を失った後、こう続けました。
「アメリカでは、例えば国際関係論を勉強するための学部に入るのってすっごく大変なんだよ。しかも入った後も大変。だからこそみんな頑張るし、その後もその道で評価されるのに…」
心の中で、それは日本でも同じだと思いました。
でもきっと、アメリカで国際関係論を学ぶのと、日本で私のように学んでいるのとでは、本質的な学びという観点から見たら、本当に雲泥の差があるんだろうなと思いました。
今の日本社会では、理系の生徒でも学部以上の高等教育を続ける人が、海外に比べて少ないということが問題視されてきていると思います。政府も、奨学金を出すなどして対策しようとしている、というニュースをこの前目にしました。
でももし、学ぶ、ということが社会において名目化しているとしたら、本質的な部分が評価してもらえないとしたら、そんな空虚なことを続けることはできない、したくない、って思う人も多いのではないかなと思います。
もちろん専門職を基本とした採用にも問題があるということは話題に出ました。みんながスペシャリストになればいいと思っているわけではないし、現行の日本企業のあり方が生まれて来た背景も考えてみたし、これが合理的な側面を持ち合わせていることもわかります。
ただし、今の自分では本当に、日本企業に入ってジェネラリストになる、という選択肢しか選ぶことができないだろう、という事実を改めて認識し、ちょっと衝撃的だったので書いてみました。この社会のあり方が、日本という国の生産性とかイノベーションとかにどう関わっているかはまだ正直わからないです。
でもとにかく、学ぶってなんだろう、ということをまたも考えさせられる会話となりました。
②少子化と社会の制度について
今セメスターに履修している、サステイナビリティ系の授業では、大学生からおばちゃんおじいちゃんまで、老若男女とまではいきませんが、いろんな生徒がいます。
その日はたまたま30歳半ばくらいの女性が隣にいて、休憩時間にお互い自己紹介をする流れになりました。
その人は働きながら子育てをしているママらしくて、スウェーデンで母親業と仕事を両立することについて生き生きと語ってくれました。
男性も育児休暇を取れるから、女性だけの負担じゃないし、決まった時間に働いて、家事をやって、と暮らしていると言っていました。さらなる向学心の下に、大学の授業さえ取っている彼女はすごく輝いて見えました。
この感想を率直に彼女に伝えたところ、「日本のシステムはどうなっているの?」と聞かれたので、現状を色々と話してみました。
彼女はまず、日本で育児休暇が取りにくいことにびっくりしていました。仕事から一時的に離れると、職場に戻りにくくなる、というのは日本では男女に共通する課題だと思いますが、彼女はこれがあまりイメージできないようでした。
社会の中で、子供が生まれる時は育児休暇を取る、っていうのがすでに当たり前の規範になっていると、確かに仕事優先的な日本のあり方は理解できないだろうなあ、と思います。
さらに彼女は、
「その状態でも、日本の女性は子供を産みたいって感じなの?」
と聞いてきました。
「子供を産みたいっていう気持ちがあるかは人によるけど、スウェーデンと違うのは、子供を産む場合に、それにかかるコストをよく検討する必要があるっていう点かな。さっき言ったように、仕事をする上でもキャリアを考えたら、育児と両立するのは結構難しいし、それに何より、日本で子供を持つことはお金がかかる。スウェーデンと違って、学校も医療も無料じゃないから。自分自身のためですら、この少子高齢化社会じゃ本当に年金がしっかりもらえるか怖くて老後に備えてお金を貯めておかないと、って思うのに、さらに子供ってなると、一大決心よね。だから子供はやめとこう、ってなる人もいるんじゃないかな。しっかり考えないで産んでしまうと取り返しのつかないことにもなるから。」
私はこう言いながらまたも少し悲しい気持ちになっていました。
スウェーデンの福祉制度を同じように日本に導入できるわけじゃないけど、私自身これを説明しながら、日本はこのままでは少子化が進むばかりだと改めて認識させられていました。
これまで男女平等というトピックにあまり熱は入りませんでしたが、上で書いたような観点に対する問題意識からは、女性の社会進出がもっとしやすいようになるべき、とより強く考えるようになりました。
