7年付き合って結婚して息子を授かり結婚の期間は5年しかなかった。
息子は一人立ちし、家庭を持ち、仕事も頑張って居る。人の気持ちの解る良い息子に女手一つで頑張って来てくれた。元妻。何年振りかで顔を見る機会が「永久の別れ」になった。俺と一緒に過ごし、暮らして居た頃には健康で元気だった元妻がこの何年か入院、退院を繰り返し息子に医者は「移植手術以外助かる道は無い」「亡くなるのを覚悟して下さい」二十歳そこそこの息子にそう宣告したそうだ。あまりに残酷な告知であっただろうと離れて暮らす私にも想像出来る。
元妻が安置されていた葬儀所の駐車場に着いた時息子は私を見つけ「悪いな、わざわざ来てくれて」そう他人のような口調で話をした。私は車の運転中にも元妻との短がかった暮らしと出会いから付き合って居た頃の事が思い浮かばれて涙が止まらなかった。
息子は「ここ最近はおかぁはずっと入院でいつも「苦しい」「もう死にたい」「痛い」「辛い」それしか話が出来なかったから…」「頑張ったから…これ以上治る見込みの無い治療しても…」そう話して泣いた。私は息子の涙を初めて見た。その姿を目の当たりにして更に私は涙が止まらなくなった。
元妻は痩せて元々色白だった肌の色が透明な程白くなって横になって居た。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…
私はそんな言葉しか言えなかった。
苦しかっただろうに…痛かっただろうに…辛かっただろうに…悔しかっただろうに…悲しいかっただろうに…
頑張って、戦って…この世の苦痛と痛みと苦しみを一人で抱え込んで逝ってしまった元妻。
俺と少しでも一緒に過ごしてくれて、出会ってくれて…
「有難う」