
ロームプロジェクトの「音楽療法プロジェクト2010」の意味を語るには、昨年度のプロジェクトのその後の展開を報告しなければならないだろう。
昨年度プロジェクトの音楽療法楽譜集「たからもの」作成の目的は大きく二つあり、作曲された手書き楽譜をコンピュータで浄書するという目的と、社会に生かされる楽譜集を作成することであった。初版発刊は500冊であったが、二月に発売されるとあれよあれよと拡がっていった。日本人による、音楽療法のための創作楽譜集は2冊目であり、この手の楽譜集としては画期的な出だしといえる。
販売開始は、まず同志社女子大学音楽療法コースの学生の一年間の学びや活動の集大成の場である「MTーMusic and Talk」の集まりの場であった。卒業生や実習先の音楽療法士の方々が手に取りさっそく施設や教育現場に持ち帰って下さった。また各地で開催される大小の音楽療法の学会や勉強会でも多くの音楽療法士が求めて下さった。さらにそこから輪が拡がって10冊づつのまとまった注文がくる、など嬉しいニュースが届く。さらに、実際に使用した結果が戻ってきはじめている。
・アーと声を出す曲では、ある自閉症の青年が大好きで、今まで音楽場面ではあまり反応を示さなかったのに、今では毎回「アーをやろう」と音楽の時間を喜んで待っている。
・高齢者施設で愛鳥週間に鳥の歌を2曲やって楽しんだ。
・亀の動作の体操は高齢者自らが動きを作ってやっている。
・お花の歌の優しさを、子どもが大好き。
・挨拶の歌がグループの定番曲になっている。
などなどで、年齢問わず親しまれていることが嬉しい。
やはり楽譜という形になり、手にとった時のデザインや色、重さ、ワクワクしながら次々弾いてみる楽しみはどんなにインターネットが普及しても味わうことができない価値だ。手に携えて現場に持ち込み、あれこれ障害者と一緒にページをめくる楽しみもある。iーPad が普及していって、譜面立てに置いたとしても、この感覚を得るのは難しいだろう。いつの日にかそのような時代が来るかも知れないが、当分は一冊づつプレゼントを手渡すように現場の方々に贈り(買っていただくのだが)、音楽のバトンタッチをしていきたいと願う。
今年度はインターネット配信の条件でプロジェクトは承認された。時代の狭間で、一番大切な目
的「障害者の手元に届く楽曲製作」がどのように実現できるのか、見守っていきたい。
かがわみゅーじっくせらぴーグループの方々の楽曲練習風景

「亀になる」活動風景、リーダー二人の方々




