皆さま、こんにちは!

 

アスペによるアスペの子育て継続中の岩堀由美子です。

 

子どもが小さかった頃は本当に日々是修羅場で、共有価値のありそうなエピソードがたくさんあったわけですが、高校生ともなると多様な特性を持つ子こどもたちの人格形成も進み、何を障害ととらえ何を個性ととらえるべきか、社会生活における困り感や不自由さも人によってずいぶん違ってきた感じがします。

 

先日17歳になった娘は、世間一般に常識として存在するたくさんの言葉に傷つきながら、自己肯定感を下げ自尊心を失わせる価値基準と戦い、自己と社会との折り合いをつけるべく葛藤の日々を過ごしているように見えます。

 

娘の通う京都芸術大学附属高校はアクティブラーニングを特徴とする通学型の通信制高校です。今年度はコロナ感染症防止対策が徹底的に取られた結果、登校日も少なくアクティブラーニングも思いっきりアクティブとはいかず、昨年にくらべると教学内容の遜色は否めないところですが、これは全世界的な状況ですので、一日も早い感染症の収束を祈るしかありません。

 

娘の高校は授業時間数も登校日数も全日制の高校よりずっと少ないのですが、通信制高校なのでレポートの数は多いです。主に教科書や副教材を見れば解答できる問題と、調べたり自分の意見をまとめる論述問題の組み合わせで、その割合は教科によって異なります。ちなみに英語も国語も数学も2年次以降は選択となるので、苦手な科目は1年だけ頑張れば終わることも出来ます。特徴的な選択科目として大学の先生が受け持たれる90分授業や、一般教科以外の総合科目があり、それらのレポートは長めの論述題ばかりで大学のレポートに近いというか同じです。

 

これが大変かどうかは子どもによってかなり違うと思いますが、ある程度の基礎学力があり、普通中学の宿題に慣れた子には楽勝だと思います。そうではあるけれども、文章を書くのが嫌いな子には負担感が大きいかもしれません。まぁ、全体的に時間も余裕もある高校生活なので、この時期に書きまくって苦手感を払しょくするという前向きな方向性もあると思います。それでは不登校や学習障害で基礎学力に問題のある子にどうかというと、楽勝ではないけど卒業が目標なら無理でもない。勉強についてはそういうレベル感じゃないかと思います。

 

最近はたくさん通信制高校がありますが、レポートの内容は学校によってかなり違うようです。通学型で授業に出ていればレポートは自然に仕上がる高校もあれば、オンライン授業を受けてネット上のクイズに答えていけばレポートが完成する仕組みの学校もあります。そう考えると芸大附属は勉強に対する自主的な取り組みが一定程度は要求されるようですが、友達と一緒に学校でやる時間も場所もあるので、ものすごく厳しいという感じではありません。

 

さて、芸大附属はいくつか教科を落としても留年しない単位制高校ですが、中にはたくさんの教科を落としてしまう人もいるようです。制度的にはレポートや試験は再提出や追試もありますし、体力と要領に自信がある人たちは、何十本も溜めたレポートも締め切り前の猛ダッシュで間に合わせてきます。娘の話を聞く限り、私の印象では単位を落としがちな人には出席が問題なのかと思われます。芸大附属に遅刻という扱いはなくて、5分以上の遅刻早退は出席にならないというシンプルなルールです。繰り返しですが、普通高校に比べると授業時間数はとても少ないです。が、5分以上の遅刻は出席としてはゼロカウントです。

 

ルールは少なくてシンプルなので、とにかくそこだけは確実に抑える。娘に対し「自由で開かれた感性と価値観のまま、それなりに社会適応して欲しい」と願っている保護者としては、ちょうどいい感じじゃないかと思っています。

 

時々、美大系への進路としてどうかという相談を受けます。芸大附属は芸術系の大学や専門学校の総合選抜型入試に備えるなら悪くない選択だと思います。ただし、芸術系の実技授業、たとえば絵が上手くなるように教えるような授業はあまりありません。受験のためにデッサンや色彩を学ぶなら、とにかく自由な時間はいーっぱいありますので、がっつり画塾に行くことになるんじゃないかと思います。

 

美術系教育についてはそういう感じなのですが、何らかの創作をしている人の割合は恐ろしく高いと思われます。絵やイラストや写真、詩や小説、ファッション関係の自己表現手段をもっている子はたくさんいて、娘も学校で絵や詩集を誰かに買ってもらったり、アクセサリーや雑貨を買ったりプレゼントされたりしています。

 

あとは、アルバイトをしている子も多いです。自分の稼いだお金で作品をつくったり個展を開いたり、オタク道を邁進したりされてるようです。娘に言わせると「みんな」アルバイトをしているそうで、「自分だけ」アルバイトをしていないと強い劣等感を訴えます。私としては「アルバイトをしていない親友」が二人もいる(親友が何人もいること自体すごい!)と指摘するのですが、彼らは「みんな」のうちには入らないようです。

 

娘の場合はなんといっても非常に重度の読み書き障害+学習障害という現実がありますから、学校の課題には娘なりに相当の時間とエネルギーをかけています。ディスレクシアは文字を見ると本当に酷く疲れてしまい、普通の人のように長時間一気に勉強できないので、毎日、時間を分けてコツコツと努力しています。それなのに、普段はバイトや創作活動に忙しい人たちが、いざとなると短時間で大量のレポートを書き上げたり、試験で自分より良い結果を出すのを目の当たりにすると、自分のハンディキャップを思い知るようです。娘は勉強に関わる悔しさ、悲しさ、みじめさを、高校になって初めて体験していると思います。

 

また、娘がモノづくりにかける時間とエネルギーは物凄くて、絵と粘土と詩と小説の制作に取り組む姿はストイックです。加えて彼女は恐ろしく社交的で、「対人スキルの強化訓練が目的ですか?」と言いたいほど、様々なバックグラウンドの人たちと深くて広い人間関係を構築、維持しています。この年頃にたくさん自由時間があれば、人はこんなにパワフルなのかと驚きますし、思春期なのに病んで寝込んでないだけでも本当にありがたいです。

 

娘の生活は17歳少女としては十分過ぎるほど充実していると思いますし、私には時間とエネルギーの限界まで活動しているように見えます。正直に言うと、これ以上頑張られるのは私としては怖いです。切れたり壊れたりしないか心配です。なので、今はアルバイトなんてして欲しくないわけですが、そんなことを私の口から言うととんでもないことになります。「私をなめてんのか!」「私の能力を見くびってるやろ!」「私はこの程度やと思ってるんやな!」と大荒れになります。かと思えば、「こんなに頑張ってるのに人並みのこともできひん!」「みんなには当たり前のことが私には当たり前にできひん!」「こんなに低い能力では生きていけへん!もう死にたい!」という大型台風も定期的に襲来します。

 

そんなこんなで揺れながら走りながら、高2の11月、娘はまたしてもアルバイトしようとしています。

 

さてさて、私たちにとって娘が高校時代を過ごすのに、京都芸術大学附属高校はとてもよい場所です。もちろん合わなくてつらい子もいるようなので、誰にでもお勧めするというわけではありませんが、個性豊かな子どもたちが集まり続け、今の自由さが今後も続いてゆくのであれば、面白い学校になるかもしれないと思います。

 

それでは、また、ちかいうちに。。。