彼女は、いつも突然現れる。

「あ、お久しぶりです。」

ああ、まただ。
そう思いながらも私は笑顔で答える。
「久しぶり。元気だった?」

彼女はいつも健気だ。
いつも変わらないその空気をまとって、私の前に現れる。

この偶然に説明をつけるとするならば、因縁なのだろう。

だけどそれは彼女とではなく、彼女と私の過去とのもの。

同じ時期に、同じような過去を持って、忘れたくても忘れられないあの日々が、彼女を遣ってやってくる。

「覚えてるよね?忘れてなんかいないよね?」

彼女と会うたびに思い出す。
後悔、懺悔、独りよがり、身勝手な幸せ。

きっと彼女も同じことを思うだろう。
「ああ、またあの人だ。もう忘れさせてくれよ。」と。

この因縁を晴らすには、きっと、私と彼女が新しい過去を作っていかなくてはいけない。

新しい場所と時間で、あのときの記憶が薄まるように。

新しい季節が、綺麗なものだけを色濃く映してくれますように。

彼女の前で、ちゃんと笑える日がきますように。

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