私が入院中だった患者、〇下さん。

彼は母と同じ年齢くらいで、70歳前後。
妙に機嫌がよかったので聞いてみると
息子が面会に来るという。
息子の年齢も私と2つしか違わなかった。

彼には未婚の彼女がいるらしい。その息子。

ある時、筆談することになった。
私は活舌が悪い。彼は耳が悪い。

それで筆談になった。

彼の大事なノートには看護師さんの名前が
何回も書いてある。
お世話になったので忘れないようにとか。
しかし、5mmマスの小さな枠に老眼もあるろうに
よく書いたものだと感心した。

看護師の名前が4つくらいあった。
みんな女性だった(^_^;)

私を洗面所の前に呼んで、私に女性の前で
は髭を剃るようにと指導を受ける。
私は電気カミソリを家から持ってもらえなくなかった。
彼に言うと貸してくれると髭を剃り始めると
すぐに看護師さんに止められた。
そう今の時代は髭剃りの貸し借りは
だめであるのを私は知っていた。

何故か気に入られて、食事の時も
手振りでわしの前に座れと訴える。

私は年上には気に入られやすいと自己分析。

しかし、私が先に食べてると彼は違う席に座る。
何を考えてるんだぁと思いながら彼の前に座り直す。
翌日にはまた手招きして前に座れという。
よくわからないこともあった。

ある時、彼の1ページを借りて
彼の書いた言葉に豆知識と雑談を用いて書いた。
1時間半かかった。

マリリンモンローの事が書いてあれば
モンロー・ウォークは片側のヒールのかかとを
削ってあってああなってるんだよとか。

それを、最後に大切なノートの切れ端の最初に
いたずら書きさせてもらいました。
と、締めくくった。

次の日、彼から威嚇攻撃受けた。
最初はわからなかった。
それで、あとであのノートのことかな。
冗談が通じないな。
どうしようもないので何もないふりして1週間後、
彼の方から謝ってきた。

いたずら書きというのをそこだけ読んで憤怒したらしい。
他のところを読んで、ただのいたずら書きではないのをわかったと。。。

彼は私に、私は君のように賢くないので。。。

いやいや、そうでない。
学歴は高卒だ。

彼のその年にして、歴史年表を書いたり、
なにか努力してる姿はすごいと思う。

関係はもとに戻ったが、もう筆談してこなかった。寂しい。

それから、彼は電気治療に入り、その後、話さなくなった。
電気治療が失敗した?

私はその後、状態の良いエリアへ移されて会えなくなった。

それから、かなり経って911がコールされた。
そのベットに寝ていたのは彼に見えた。

看護師さんに聞いても、教えてくれなかったのでその後は知らない。