飯山の母さんと慕い時々に寄らせてもらいぬ和里田さん宅
霜月の歌会に会いしその時の顔色悪しきを不思議に思いぬ
峠といわれし終末越えたれば快方ならんと思いてばかりに
十日余り入院をして身罷れしあまりの速さに心ついて行けず
お互いの身体を案じ暮らしおれど加齢の所為(せい)と決めること多々
短歌が出来ないことを嘆きつつ八十二歳の日常を詠えり
手料理に懐かしき菓子ご主人と和里田さん宅実家の如き
ラベンダーの丘に寛ぎ和里田さん畑山さんと笹寿司を食ぶ
上段の国営農場に蕗を採る和里田さんの料理は何でも旨し
和里田宅の築山に生える藪柑子我が家に根付き数多増えたり
素敵なブラウスにアクセサリーお洒落な和里田さんの浮かび来る
桜の枝に積もれる雪塊が夕日に煌く黄昏は寂しき