見上げたる空に引かれし電線の五線譜の上動物雲ゆく
楊貴妃の好みと聞きしライチの実目を細め食む九十歳の姑
楊貴妃に負けないようにと声かけて姑の口にライチ入れやる
内視鏡の必要もなし九十歳自然死 病死の判断おぼろ
言葉での表現すでに失いぬ認知症なる病の極み
花びらをくるっと丸めて可愛らし湯の丸高原にクルマユリ咲く
夏空に唐子微笑み舞うごとしノウゼンカズラ宙に絡める
いろいろあった八月 美味しい果実も食べたし 猛暑の夏に次々と爽やかに咲く花たちとも
出会えた。抜いても抜いても出てくる雑草を抜いて 汗だくに成りながらもその後の清涼感も
たっぷり味わった。
さまざまな人に出会いながら 心の襞の深さに感服もした。さあ、九月は どんな月になるだろうか。
夜道を歩いて 隣の村の花火を 田圃の端から眺めた。街灯などない村中を照らしている月に ちょっと心の内を話してみた。