
大待宵草 この花には私のドラマがある。小さいころ川原に行けば この花がたくさん咲いていた。花が大きく重たげに咲いている姿は 優しそうで優雅で 砂の上をはだしで歩きながらも豊かな気持ちになったものだ。その花が何時しか見られなくなり、小さな花の待宵草ばかりが 道端などに出現した。繁殖力が弱いのですね。そして大きくなっては 幼い頃に親しんだ花が、夢二の愛した大待宵草だと知った。
五年前に たまたまあぜ道でこの花を見つけ、次の年に 畑の隅に落ちていた枯れた枝を拾ってきて、種を採り畑の隅に蒔いた。一年目で花が咲くかと思ったが、葉が大きくなるだけで 咲かない。本を調べると二年草とのこと。やっと二年目に背丈ほどの高さで 見事に咲いた。あまりの美しさに 夕方は花の開花を楽しみ、朝は10時頃まで花を惜しんだ。
秋になって枯れた枝を根元から切って 来年も芽を出した咲いてねと声をかけたが 春になると芽が出てこない。枯れていたのだ。
二年草とは、そういうことだとそのとき初めて知った。二年でなくなるということ。あーーーー。がっかりしていたが
枯れた枝を 畑の隅に置いておいたので 再び二年待てば咲くからと気長にいたところ、なんと今年、間違って?咲いてくれる種があった。花は大きいが 背丈が去年ほどではないが 優しく咲き出した。大自然の大きな営みがありがたい。種の保存を花なりきに考えて懸命な努力をしているのだと思った。これで我が家の畑と花壇にこの花は 絶えることなく 咲いてくれる。
夢二の愛した花から 私の愛している花になっている。