昔死んだ父さんに言われた
「新しい奥さんがいるからあまり来るな」
昔姉さんから言われた
「おばあちゃんがお前のことを鬱陶しがってる」
昔母から言われた
「お前が邪魔だ」
僕は悪い子だった
嫌われたのは当たり前だった
だから僕はいい子になった
すると皆が僕を好きになってくれた
僕は思った
「もう一人の僕はみんなに好かれるいい子なんだ、これからはもうひとりの僕が主役なんだ」
僕は頑張った
文句は言わない、なんでも言うことを聞いた
僕はいつのまにか人気者になっていた、兄弟からも親からも親戚からも、みんなから好かれた
ある日、僕は石につまづいて転んでしまった
小さな石だった
僕は起き上がれなかった
小さな石と些細な痛みが僕を襲った
僕は痛かった、誰かに聞いてほしかった
でもいい子の僕はそんなことしちゃだめだった
僕は痛みを飲み込んだ
心のなかだけは僕の弱い部分でいっぱいだった
僕は昔言われたあの言葉たちを思い出した
鎖で覆われたこの物体に僕が入る隙間はなくて
暗くて重い気持ちの底に
僕は今日も一人でいた
